カネミ油症 救済運動けん引 矢口哲雄さん死去

 カネミ油症の被害者救済運動で中心的役割を果たした元「カネミ油症五島市の会」会長の矢口哲雄(やぐち・てつお)さんが24日午後2時37分、肺炎のため五島市内の病院で死去した。95歳。新上五島町(旧若松町)出身。自宅は五島市奈留町浦471の4。通夜は26日午後7時、葬儀・告別式は27日午前10時からいずれも五島市奈留町浦395、カトリック奈留教会で。喪主は妻フジヱさん。
 1968年、奈留町で家族と共に油症に罹患(りかん)。原因企業カネミ倉庫、鐘淵化学工業(現カネカ)、国などを訴えた裁判の原告になった。一連の裁判は本格救済につながらないまま87年に終結し、救済運動はほぼ途絶えた。しかし2004年の下五島の自治体合併、油症診断基準見直しをきっかけに05年、玉之浦町と奈留町の患者会が合流。発足したカネミ油症五島市の会の初代会長に就任し、被害者らの新たな救済運動をけん引。07年に仮払金返還免除特例法、12年には被害者救済法が成立した。
 カネミ油症被害者五島市の会の旭梶山英臣会長(68)は「五島での救済運動に熱心に取り組み、誠実で清廉潔白な人だった」と語った。

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