グリーンコープの活動(後編) 避難所へ「食品・日用品の支援」と避難所を出た人への「生活応援セット」

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「グリーンコープ生活協同組合」とは

岡山のほか、九州・中国地方と大阪などに拠点を持つ生活共同組合。組合員は、店舗や配達で食品と石鹸などの日用品の購入をすることができる。現在、40万世帯の人が利用している。安心・安全なものを届けるだけでなく、しょう油やみりんなどの液体調味料の瓶は、リユース容器を使用するなど環境に対する配慮も積極的に行なっている。東日本大震災後、独自の厳密な放射能測定もおこない、いち早く消費者の声に応えて販売を行った。

2018年9月30日・グリーンコープと一緒に避難所へ回った

この日は、くらしき健康福祉プラザ(倉敷市笹沖)・船穂公民館(倉敷市船穂町)・倉敷市立二万小学校(倉敷市真備町上二万)・倉敷市立薗小学校(倉敷市真備町市場)・まきび荘(倉敷市真備町市場)・倉敷市立岡田小学校(倉敷市真備町岡田)・吉備路クリーンセンター(倉敷市真備町箭田)・山手公民館(総社市岡谷)・昭和公民館(総社市美袋)の配達に回った。避難所となっていた場所の多くを支援して回っていた。

避難所によって求められる物資は異なり、新たに必要なものを聞きながら提供をしていく。この日は、バナナ・牛乳・豆腐・納豆・ヨーグルトなどを届けた。

薗小学校は、前日に避難所として閉鎖していた。体育館は何事もなかったよう片付けられもぬけの殻になっていた。避難所が必要なくなったことは嬉しいことだが、退所された方々の今後のことを思うと、胸がつまりどこか切ない光景だった。

薗小学校の目の前にある真備町公民館薗分館では、薗小学校と物資などの共有をしていた。同館に避難していたしていた小規模多機能ホーム「ぶどうの家」(倉敷市真備町箭田)では薗小学校の閉鎖による混乱が起きていた。薗小学校に勤務していた倉敷市職員はいなくなっただけでなく、共有していた物資も無くなってしまった。

「離乳食のパン粥を作るための牛乳がない」や「緑茶ではなく、カフェインの入っていない麦茶が飲みたい」とこれまであったものがなくなったことで、混乱を招いていた。グリーンコープの車が到着し、牛乳などをお渡しすると、疲労を見せていたスタッフにも安堵の様子が伺えた。

避難所では毎日同じパン、弁当が続き、食欲だけでなく栄養の偏りも気になってくる。まきび荘では、新鮮な野菜を使い調理したおかずや汁物を1品添えられるように、野菜や調味料などをグリーンコープが提供した。

避難所によっては、グリーンコープ用の冷蔵庫の用意(二万小学校)、グリーンコープ用に物資コーナーテーブルの用意をするところも現れた。

生活応援セット

避難所から退所し、仮設住宅や修繕工事の進む自宅などへ移り、新しい生活を始める方々に「生活応援セット」を倉敷・総社の職員から手渡してもらっている。ダンボールに塩、醤油、味噌などの調味料、シャンプー、洗剤、スポンジ、トイレットペーパーなど、新しい生活でたちまちに揃えていかなくてはならないものばかりが詰められている。被災者の中には、このセットを心待ちにしている人もいた。

グリーンコープの組合員の協力があってこそ

災害支援活動は、約42万人のグリーンコープの組合員からの救援金(カンパ)によって運営されている。平成30年7月豪雨だけに限らず、九州北部豪雨災害や熊本地震への支援も並行して行なっている。今回、お話を聞いたスタッフの河添文彦さんは、熊本県益城町から応援に駆けつけていた。ご自身が住む街も被災していた。益城町での仮設住宅で行われている支援のノウハウも持って岡山にサポートに入って頂いている。

河添さんは「胃腸の調子が悪いとの声もあり、最近のニーズは、コーヒーやお菓子などの嗜好品から豆乳や野菜ジュース、納豆、ヨーグルトなど健康を意識した食品に変わってきている。長く続く避難生活で体調を崩しているのではないかと心配になる」と話してくれた。

グリーンコープは今後も仮設住宅のサロンイベントや移動販売など様々な支援活動を行っていく予定。

 

いまできること取材班
文章・撮影:小野直子
編集:松原龍之

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