【MLB】エンゼルス主砲トラウトが独白 大谷翔平に“敬意”「打者としてとても必要」

エンゼルスのマイク・トラウト【写真:Getty Images】

“現役最強”選手のトラウトに独占インタビュー、2年後のFAについても語る

 昨シーズンのMVP投票で2位に入り、2012年から7年連続で同4位以内(2014、2016年はMVP受賞)に入るなど、“現役最強プレーヤー”の呼び声高いエンゼルスのマイク・トラウト外野手。昨季はエンゼルスに大谷翔平投手が加入したこともあり、日本でもさらに注目を浴びる存在となった。

 今年でデビュー9年目を迎えるスーパースターにFull-Countは独占インタビュー。昨年の自身の出来、新監督や新シーズン、2年目を迎える大谷とのコンビ、そして気になる自身のFAについて聞いた。

 2011年にデビューしてから2度のMVP、7度のオールスター選出など数々の実績を積み上げ、エンゼルスだけでなくメジャーの“顔”となったトラウト。走攻守全てをハイレベルでこなす実力もさることながら、27歳で併せ持つ謙虚さもたまらない魅力のひとつである。そして、そのプレーには“華”がある。

 エンゼルスのスプリングトレーニングは、18日(日本時間19日)から野手組も合流。オフシーズンについて、トラウトは「とても良かったよ。(オフから)戻って来てみるとたくさんの新しいプレーヤーやコーチがいるしね。シーズンがとても楽しみだよ」と語る。充実ぶりが伝わってくる。

 エンゼルスは、長らく監督を務めていたマイク・ソーシア氏が昨年限りで退任。ブラッド・オースマス氏が新監督に就任した。トラウトにとっては初の監督交代となったが、オースマス新監督は昨年GM補佐を務めていただけに、その人柄については十分に分かっている。「ブラッド(オースマス)はとてもいいよ。ソーシア監督の元でしかプレーしてないし、(ソーシア監督が)とてもいい監督だったから、彼の元でプレーするのはとても好きだった。でもブラッドは新しいチャレンジに向けていろいろなことを持って来てくれるからね。今のところはとても楽しいよ」。ソーシア前監督への敬意を忘れることはないが、指揮官交代はポジティブにとらえている様子だ。

 昨季はキャリアで2番目に多い39本塁打(最多は2015年の41本塁打)を放ち、出塁率(.460)やOPS(出塁率+長打率、1.088)でキャリアハイを記録するなど、さらなる進化を見せた。トラウトは「いい年だったよ」と語る。ただ、「僕も含めて怪我は多かったけどね。だから今年はシーズンを通してプレーできるように頑張りたい」と、140試合の出場にとどまったことは反省。今季の出場試合の具体的な目標については「今年は158試合出られるように頑張りたい。ケガもしないようにしたいね」と意気込んでいる。

「オオタニは打者としてもラインナップにはとても必要な存在だ」

 また、現役屈指の5ツールプレーヤーのトラウトだが、輝かしいキャリアの中であえて“弱点”をあげるとすれば守備面だ。これまでにゴールドグラブ受賞経験はなく、昨年には守備面の改善を目標の1つに掲げていたが、自身の手応えはあったのだろうか。「去年のディフェンスは確かに大きかった。でも今年は何か1つの部分だけではなく全体的にもっと成長したい。守備でも走ることでもオールラウンドの選手になりたいからね。毎日もっといい自分になれるように頑張る。球場に来て自分を磨くことが好きだしね。誰でも成長できる部分は必ずあるからね」。これだけのレベルになっても、向上心は尽きない。

 約1か月に迫ったMLB開幕。今シーズンの目標については「まずチームがプレーオフに出ることだね!」と即答したトラウト。個人の目標については「オフェンスに関しては、毎年もっと打てるように努力しているんだ。あまり前の年の成績は見ていないけどね。スランプとかもできるだけ短くできるようにしたいね!」とさらなる進化を誓った。

 プレーオフ進出ヘ向けて、主力の活躍は必要不可欠。トラウトは大谷や“レジェンド”のアルバート・プホルスといった選手たちにリスペクトを欠かさない。「オオタニは打者としてもラインナップにはとても必要な存在だ。それにプホルスはベテランだからね。だから、どうなるかが楽しみだ。2人とプレーできるのが本当に楽しみだね」。2019年も“トラウタニ”デュオ躍動の予感だ。

 そして、気になることがもう一つ。トラウトの去就だ。メジャーでは、マニー・マチャド内野手がFA選手としては史上最高額となるパドレスとの大型契約(10年総額3億ドル=約332億円)を結んだばかり。まだ所属先を決めかねているブライス・ハーパー外野手も同規模の契約を結ぶことが濃厚とみられている。そんな中で、2020年でエンゼルスとの契約が満了となるトラウトの動向には早くも注目が集まっている。それまでに契約を延長せずFAになれば、大争奪戦になることが予想されるが、本人はどう考えているのか。

「彼(マチャド)がいい契約ができて良かったと思っているよ。何回か会ったこともあるしいいやつだよ。ハーパーももうすぐ決まるのではないかな。僕もあと2年残っているから精一杯頑張ろうと思う。みんなに残ってほしいって言われるけどまだそこまでは考えていないよ」

 FAになるまで、まだ2年ある。まずはシーズン開幕に集中しているようだ。

 毎年成績を向上させ、“現役最強”の名に恥じない活躍を続けるスーパースター。9年目を迎える外野手は、悲願のチャンピオンリング獲得に照準を合わせている。(盆子原浩二 / Koji Bonkobara)

© 株式会社Creative2