子連れでゴスペル 敬う指導者と声高らかに ココロ・ジャパニーズ・ゴスペル・クワイア

トラディショナルからコンテンポラリーまでジャンルは幅広い

毎週土曜、ハーレムの教会で練習を行っている「ココロ・ジャパニーズ・ゴスペル・クワイア」。2000年に結成し、ニューヨークハーレム黒人教会の音楽指導者で、オペラ歌手としても多数の受賞歴を持つグレゴリー・ホプキンスさんが04年から指導に当たっている。

2004年から同クワイアで指導に当たるグレゴリー先生

ピアノに向かったグレゴリー先生が「Take Me Back」を弾き始めるや、空気が一変、すぐに音を追って歌い出す団員たち。パート別に声を合わせた後、全員で高らかに歌い上げる。

「心を込めて歌うことが大切」という先生は、歌に込められた気持ちを理解することを重視しており、音程や発声などの技術的な説明はほとんどしない。指揮者もいない。楽譜は使わず、ピアノの音を耳で覚えていく。

グレゴリー・ホプキンスさん 同合唱団は絆を大切にしていて、帰国した後も、元団員が結成した「ココロ・ゴスペル・ジャパン」でつながっています。みんな美しいスピリットを持った素晴らしい生徒たちです。 うれしいことに、赤ちゃん連れで参加する親子も増えてきたので、将来的には子供を対象にした「ココロ・ジュニア・クラス」も始める予定です。

難解な箇所では先生がまず歌ってみせ、団員がそれに倣って歌詞を追う。「もう一度」と右手だけで音を取りながら、歌詞の意味を味わうようにゆっくり全員で声を合わせていく。

200ほどあるレパートリーの中には、日本語に訳した曲もあり、先生も「この日は、この日は、主が創られた〜」と、「This is the day」の歌詞を日本語で歌っていた。練習後には、初めて日本でワークショップとコンサートを開催する先生のために壮行会が行われ、団員が用意した手作りの日米の国旗や装飾、軽食で先生をねぎらった。

赤ちゃんも参加して和やかな雰囲気

この日は3家族が赤ちゃん連れで参加。3カ月になる翔馬くんを連れて参加の、丁子(ちょうじ)友紀子さん(ソプラノ)と天馬さん(テナー)は、この合唱団で知り合って結婚。「出産4日前まで練習に来ていたので、子供はおなかの中で聴いていたようで、連れて来るとじっと聴き入っています。子育て中はなかなか外に出る機会がないので、ここに来ると癒やしになります」とほっとした表情。

商社勤務の執行(しぎょう)冬馬さん(テナー)は昨夏から参加。「歌詞の意味を理解することが大事なので、かみしめて歌うよう心掛けています。団員も先生もとても優しくて温かく、ここでの時間がストレス解消になっています」と土曜を楽しみにしている。

インテリアデザイナーの羽廣(はびろ)美幸さん(アルト)は08年に入団。「私にとってゴスペルは心の支えです。ゴスペルには素晴らしいメッセージがたくさん入っているので、クリスチャンでなくても、癒やしと力を与えてもらえます。先生は、何も言わずに私たちを野放しで歌わせてくれているのがすごいです(笑)。尊敬しています」と話した。

同合唱団のスピリチュアルアドバイザーで、グラミー賞受賞ゴスペルアーティストのヘゼカイア・ウォーカー氏率いるラブ・フェローシップ・タバナクル教会クワイア団員のラマンツ綾さんは「子育て中のママ達も気軽に参加してください。ゴスペルは子供の音感やリズム感にもいいそうですよ」と参加を呼び掛ける。

The Cocolo Japanese Gospel Choir

毎週土曜日の午後2時から4時まで、Convent Ave. Baptist Church(425 W. 145th St.)で練習している。教会のイベントやチャリティーコンサートに招待されて活動。1回12ドル。

【問い合わせ】
cocolo145@gmail.com
https://cocologospel.wordpress.com/

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