定着支援センター10年 障害者ら再犯わずか9% 長崎県内帰住345人

 罪を繰り返す障害者や高齢者に住居や福祉サービスを提供し、社会復帰を支援する「長崎県地域生活定着支援センター」(諫早市)が全国で初めて長崎県に開設されて10年。この間、センターが支援した県内帰住の障害者・高齢者計345人のうち、刑務所に再入所した再犯者は9%(30人)だったことが同センターのまとめで分かった。
 同センターは2009年1月、厚生労働省のモデル事業として全国で初めて長崎県に設置。窃盗や無銭飲食などの犯罪を繰り返す障害者や高齢者が刑務所を出所した後、福祉につなぎ更生を図る事業を始めた。長崎県での実践を基に順次全国に整備され、現在、各都道府県に計48カ所ある。
 同センターによると、10年間で支援した人数は計670人(男586人、女84人)。身体、知的、精神など何らかの障害がある人が526人(約79%)を占めた。65歳以上の高齢者は229人(約34%)。80代以上も19人(約3%)いた。犯した罪は窃盗が420人(約63%)で最多。
 県内に帰住した対象者の再犯者は9%。アルコールや薬物などの依存傾向があったり、介護保険など公的サービスの対象外で周囲との関係が希薄な人が犯罪を繰り返しやすい傾向があった。16年版犯罪白書によると、刑法犯として摘発された人のうち48%が再犯者。再犯までの期間は高齢になるほど短くなる傾向があり、11年の刑務所出所者のうち、65歳以上の高齢者の4割は半年未満で再犯に至っていた。
 龍谷大の浜井浩一教授(犯罪学)は「高齢・障害者の中で、刑務所を出ても帰住先がない人の再犯率は高い。長崎のセンターは開設以降、福祉施設につないだ後のアフターケアも含め先進的な取り組みを重ねてきた。それが再犯者数の少なさに表れている」と評価している。

長崎県地域生活定着支援センターが開設されて10年。累犯障害者らの支援が地道に続いている(写真はイメージ)

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