ニホンジカ目撃相次ぐ 県内食害懸念 水戸で林業者向け集会

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ニホンジカの目撃情報などが報告された集会=水戸市千波町

■「定着阻止へ情報共有を」

大子町の八溝山山頂で食害をもたらすニホンジカとみられる雄のシカが確認されたことを受け、林業者向けの集会が26日、水戸市千波町の県民文化センターで開かれ、茨城県内でニホンジカの目撃が相次いでいることなどが報告された。専門家は「県内に雌が入り、子どもを産んで増え始めるのは時間の問題だ」と危機感を示し、目撃情報の共有で早期に対策を練る必要性を訴えた。

集会は茨城森林管理署と県、県林業協会が共催。林業の関係団体などから約80人が参加した。

同署の菊池毅地域林政調整官は現状報告で、近年は県北、県南地域を中心にニホンジカの目撃情報が相次いでいると指摘した。目撃されたニホンジカは雄や親子、子鹿だったとしつつ、食害は確認できなかったとした。

その上で本年度から栃木、福島両県との県境にセンサーカメラを設置したことを明かし、昨年11月下旬には八溝山で雄のニホンジカを撮影したことを伝えた。さらにニホンジカが河川沿いを移動している可能性があるとし、「今後は山林ばかりではなく、河川敷にも目を配る必要がある」と呼び掛けた。

講演した森林総合研究所の岡輝樹森林研究部門長は、ニホンジカの食害について「口が届くところは全て葉っぱがなくなる」と説明し、全国各地で森林の下草や樹木などの被害が深刻化しているとした。さらに分布域の拡大に伴い、防護柵の設置や維持にかかる費用が増大しており「農業にとっても林業にとっても最大の加害獣だ」と力を込めた。

一方、ニホンジカが急増している岩手県を例に「雄が入ってきてから10年弱くらいで(ニホンジカの)生息地となる」と指摘。本県の定着阻止には目撃情報の共有化が先決として、情報共有サイトなどの取り組みを紹介した。その上で「一番有効なのは地域ぐるみだ」と力を込め、住民らを巻き込んだ活動にする必要性を訴えた。(小野寺晋平)