バイト月収増の背景

 ファミリーレストランでの接客だったり、塾の講師だったり。大学生は多様なアルバイトをしているだろう。そのバイト月収の平均は昨年、バブル期を超えて過去最高に達したという▲全国大学生協連の調査によると、親元から大学に通う自宅生は4万920円、下宿生は3万1670円。用途については、26%が「旅行やレジャー」、19%が「クラブ・サークル費用」と答えた一方、「生活費のゆとり」「生活費の維持」の合計で4割を超える▲近年、親の仕送りが減る一方で、学費は上昇。学業を続けるためには自分で稼がなければならない学生が増えてきたようだ▲バイトに追われ大学にまともに通えない学生も少なからずいると、弁護士の岩重佳治さんが著書「『奨学金』地獄」(2017年)の中で紹介している。学生が授業に出席できないほどの勤務シフトを強いる「ブラックバイト」も横行しているとか▲学生時代のバイトは、お金を稼ぐ大変さを実感することができ、社会人として自立する一つのステップになるはずだが、学業に支障を来すとしたら本末転倒だ▲今春も多くの若者が大学や専門学校に進学する。バイトを経験する学生も多いだろう。学業と無理なく両立させながら、若いうちにしかできない貴重な経験を積んでくれることを祈りたい。(泉)

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