<レスリング>【2019年ハンガリーGP・特集】同門対決を制してメダル獲得、再浮上のきっかけとなるか…男子グレコローマン67kg級・下山田培(警視庁)

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 【ギョール(ハンガリー)、文・撮影=樋口郁夫】初日の太田忍(ALSOK=今大会は63kg級に出場)に続き、67kg級でも下山田培(警視庁)が銅メダルを獲得。男子グレコローマン軽量級を支えるべく実力を発揮した。

高橋昭五との同門決戦を制した下山田培(警視庁)

 昨年2月のアジア選手権(キルギス)で現役世界王者を破るなどして銀メダルを獲得したものの、その後のアジア大会(インドネシア)、世界選手権(ハンガリー)で結果を出せず、全日本選手権では同僚の高橋昭五に敗れて2位。勢いを持ち越すことのできない2018年後半だっただけに、再起のきっかけとなるメダル獲得と言えよう。

 しかし下山田は「うれしいのですが…」と、浮かぬ顔。2試合目で負けたあとの敗者復活戦と3位決定戦は、ともに日本選手(遠藤功章=日体大、高橋昭五=警視庁)が相手。ふだんから練習している相手に勝ってのメダル獲得に、喜びは今ひとつのようだ。

 遠藤は67kg級に上げたばかりの後輩。高橋は、準決勝で敗れて気持ちを立て直す時間もない時の3位決定戦出場。負けたあと、しっかり気持ちを切り替えていた下山田に分があったことが十分に考えられる。こうした状況下でのメダル獲得なだけに、今ひとつの気持ちのようだ。

 外国選手(ともにウクライナ選手)との試合でも、得意のリフトがなかなか上がらないケースもあり、それも喜びにブレーキをかけている一因。決まったリフト技もあるが、「もっとしっかりと決めたい。取るべきところでしっかり取らないとならない」と気を引き締めた。

ブルガリアで“世界王者キラー”の本領を発揮できるか

 とはいえ、久しぶりの国際大会のメダル獲得に、悪い気はしまい。63kg級の全日本&U23世界王者としてオリンピック階級に参戦してきた後輩の遠藤には実力の差を見せつけ、若い選手の追従を許さない姿勢を見せた。「このメダルをきっかけに、6月の全日本選抜選手権までいいムードをつくりたい」と話し、6月の全日本選抜選手権で再度、高橋を退け、プレーオフでも勝って9月の世界選手権出場を目指す気持ちが高まったようだ。

柳漢壽(左=韓国)と下山田。今年の世界選手権での再戦はあるか

 この大会で優勝した2017年66kg級世界王者の柳漢壽(韓国)には、彼が世界王者になったあと2度闘って2度勝っている。昨年の世界選手権は不振だったが、アジア大会ではきちんと連覇を達成しており、「勝つべきところではしっかり勝つ選手」と評価している。柳漢壽が世界のトップレベルをキープしてる事実は、下山田の燃える材料と言えるだろう。

 「きょうの試合でやってしまったミスを減らし、ブルガリアでは、いい試合をやりたい」。現役の世界王者者アルテム・スルコフ(ロシア)の参加が予想される大会で、“世界王者キラー”の本領を発揮できるか。