「砂の器」クランクイン! 東山紀之「中島健人をがっつり受け止めたい」

フジテレビ系で3月28日に放送する、フジテレビ開局60周年ドラマ「砂の器」に主演する東山紀之と共演の中島健人がそれぞれクランクインを迎えた。東山演じる出世コースから外れたベテラン刑事・今西栄太郎、そして中島演じる天才作曲家の殺人犯・和賀英良、それぞれにとって重要なシーンからのスタートとなった。

同作は松本清張の不朽の名作「砂の器」の舞台を現代に置き換え、全く新しい解釈でドラマ化したもの。2018年、捜査一課の刑事・今西は、ハロウィーンの渋谷で撲殺体が発見された事件の捜査に乗り出す。手掛かりは被害者の東北なまりと“カメダ”という言葉。一方、犯人であり天才作曲家の和賀は、協奏曲「宿命」の作曲に没頭していた。華やかな世界と約束された未来。しかし運命の歯車は確実に狂い出し、父・本浦千代吉(柄本明)との秘められた過去が暴かれ始める。

東山が演じる刑事の今西は、DV・ギャンブル狂いの父とアルコール中毒の母を持ち、不遇な環境で育った。自身も結婚に失敗し、不倫していた妻を自殺で亡くし現在は1人暮らし。中島が演じる和賀とは捜査を通じて対峙(たいじ)し、和賀の境遇に思いをはせ、時に自分の過去を重ね感情移入していくことになる。

東山は今西が1人で暮らすアパートの部屋から撮影をスタート。真っ暗な家に帰宅し、空っぽの冷蔵庫から缶ビールを取り出し一息つくという、今西の人となりがうかがえるシーンだ。東山はロケ地となったアパートの外観を見て方向性が見えたと言い、「実際に僕が育った市営住宅にとてもよく似ていて、共感する部分がよみがえってきました。そんな空気感を知れて、自分の中のイメージと合致する部分が多くなりました」と共通点を語った。

物語の中で心理戦を繰り広げる中島については「彼は今24歳で、彼のキャリアの中でも大きな作品の一つになると思いますので、そのサポートも含めて組めたら良いなと思います。また、彼の出方によっては変えようかなと思っていますが(笑)、組んだ時に彼がどんな技を仕掛けてくるのかによって、こっちは肩すかしにするのか、しっかり組んでともえ投げにするのか、いろんなことを考えています。向こうはすごい勢いで来るでしょうから、それをがっつり受け止められれば良いなと思います」と後輩との共演を楽しみにしている。

その中島はドラマの冒頭、和賀が人を殺めた直後、渋谷の街を血まみれのシャツに黒いマント姿で駆け抜けるシーンから撮影を開始。中島はスタッフに拍手で迎えられると、笑みを見せ丁寧にあいさつしたが、すぐに表情は一変。鬼気迫る表情で街を逃げる和賀を熱演した。

クランクインを迎え中島は「今日こそが大事なんです。和賀英良が一番自分の体に入り込む瞬間を捉えるのは、初日にしかできないと思っているので。人を殺害した直後で疾走するというのは、普通の走りとは違い“逃げる”という意味の走りで、自分もいろいろな役を演じてきましたが初めての感覚だったので、スリル感のある、ヒリヒリとしたクランクインとなりました」と初日の感想を述べた。

役柄作りについては「監督は『“砂の器”は耽美で繊細な側面を兼ね備えた作品だ』とおっしゃっていたので、すべてにおいて繊細に取り組んでいきたいと思いますし、1分1秒でも逃したらいけない感覚がこの作品には散りばめられているので、どの表情も見逃してはならないという気持ちで和賀を演じていきたいなと。監督のお言葉を聞いて改めて感じました」と一挙手一投足に気を配ることを訴えた。

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