イエメン:資金援助国は紛争への加担をやめるべき

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内戦続くイエメンの人道危機への対応を協議する国際会合が2019年2月26日、スイス・ジュネーブで開かれ、日本を含む各国政府が多額の資金援助をすることで合意した。国境なき医師団(MSF)は、資金援助国の多くがイエメンでの紛争に加担し、人道危機的状況を生み出し、人道援助活動も阻んでいると訴えている。 

繰り返される攻撃 破壊される人びとの生活

イエメンでは、長期化する内戦で、医療を含むインフラが破壊され続け、人びとの基本的な生活基盤や援助を受ける機会が奪われている。しかしこうした事実に対する認識が紛争当事者を支援する国の間では進んでいない。

例えば米国は、イエメンで反政府勢力「アンサール・アッラー(通称フーシ派)」と対立するサウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)率いる連合軍を支援する主要国だ。またサウジアラビアとUAEは、紛争の主要な当事者であると同時に、援助活動の主な資金提供国でもある。

2018年6月、北西部アブスにあるMSFのコレラ治療センターが連合軍によって空爆された。空爆を受けたMSFの施設としては、2015年3月以降5番目となる。だが、連合軍の調査チームが、2019年1月に出した報告書では、MSFを空爆の被害者ではなく、空爆の責任の一端を負う当事者とされていた。 

攻撃を受け、屋根なども大きく壊れたMSFのコレラ治療センター(2018年6月撮影)© MSF

攻撃を受け、屋根なども大きく壊れたMSFのコレラ治療センター(2018年6月撮影)© MSF

妨げられる援助活動

イエメンで公平な人道援助活動を行うには障壁が多い。紛争当事者によって、物資の輸入やビザ発給、移動には制限などが設けられ、戦闘と検問所による国の分断は、行動を制限している。多くの国民が援助無しには生活できない状況にあるにもかかわらず、援助は届かない状況が続く。一次医療は大幅に不足し、はしか、ジフテリア、コレラなど、予防接種で防げる病気が繰り返し流行している。

イエメンでは、民間人も保護されず、戦闘による負傷者の治療もままならない。MSFは、住宅街と都市近郊が戦場となり、流れ弾や散弾、空爆や地雷によって、多数の子ども、女性、高齢者がけがをしている状況を見ている。負傷者は治療のため、何時間もかけて、危険地帯や戦闘の前線をくぐってMSFにたどり着く。その一方病院に向かう途中で、命を落として来られなかった人も多くいることが推測できる。 

「戦争への加担」をやめるべき

 イエメンの人道危機対応に資金援助を表明する各国政府、国連機関、援助活動の実施機関は、医療・人道援助の観点で活動を強化して、援助の障壁となっているものを取りのぞき、ニーズに即した援助を届けることが求められている。イエメンの人道危機は、援助国政府が戦争への加担をやめ、交戦中の当事者に、残虐行為の責任を負わせることでしか解決できない。