小型電子機器にも搭載可能な、低消費電力かつ極小サイズの原子時計を実現

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東京工業大学、株式会社リコー、産業技術総合研究所の研究グループは、これまで不可能だった、低消費電力かつ小型の原子時計の開発に成功した。

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原子時計とは、原子と電磁波の共鳴現象を用いた時計のことで、水晶発振器を搭載した一般的な時計よりも精度が高い。そのため現在は、大型の原子時計を時刻の基準とし、水晶発振器をそれに同期させることで時刻を得ているが、もしも原子時計を小型化して水晶発振器の代わりとして利用できるようになれば、大きな技術的・社会的変革が得られると考えられている。しかし、原子にマイクロ波を照射する共振器を持つ従来型の原子時計は、共振器の大きさでサイズが決まり、小型化できない問題点があった。また、周波数シンセサイザといった原子時計の構成要素は、それぞれ非常に高い精度を求められるため、消費電力を下げることが難しく、結果として原子時計全体の消費電力は数百mWと高くなってしまう課題もあった。一方、今回開発した原子時計は、コヒーレントポピュレーショントラッピングという現象を利用することで、これまで数百㎤のサイズだった原子時計を一桁以上小型化することができた。さらに、周波数シンセサイザをCMOS集積回路で作り込むとともに、温度制御効率を向上した新たな量子部パッケージ構造を採用し、消費電力を大幅に削減した。その結果、従来型の大きな原子時計とほぼ同等(水晶発振器を搭載した時計の約10万倍)の精度でありながら、60mWという低消費電力と、15㎤という極小サイズを実現した。本研究成果は、これまで搭載が難しかった自動車やスマートフォン、小型衛星など、様々な機器への原子時計搭載を可能とし、自動運転、高精度な測位、新たな衛星ネットワークなどの実現を大きく加速させる可能性がある。参考:

【東京工業大学】超省エネ・小型の原子時計の開発に成功