知ってほしいけど「新聞で紹介しないで…」 救急相談ダイヤルの葛藤

©株式会社神戸新聞社

「さんだ健康医療相談ダイヤル24」を紹介する三田市のホームページ。肝心の電話番号は載せていない

 「新聞で紹介されると困るんです」。兵庫県三田市が24時間態勢で市民の救急健康相談を電話で受け付ける「さんだ健康医療相談ダイヤル24」について市に取材を申し込むと、担当課から意外な答えが返ってきた。市消防では緊急性の低い119番が後を絶たず、ダイヤル24は救急車を呼ぶべきかどうか悩む人に向けて市が4年前に開設。実は知らない人に広く伝えたいと願いつつ、緊縮財政の折、想定外の相談増は困るという葛藤があるようで…。

 15年7月、市は緊急性のある傷病者だけを救急搬送できる態勢を築こうと、救急相談に応じるダイヤル24を開設。現在は専門業者に委託し、医師や保健師らが交代で相談に応じている。

 「消防への電話や通報は減っているはずだ」。担当の市健康増進課はそう胸を張る。受付件数は年々増え、17年度は5571件と開設当初の約1.6倍に。ただし、そこに市外の人も含まれている可能性があるというのだ。

 10年連続日本一の人口増加率を支えた過去のニュータウン開発で膨らんだ財政規模の適正化に向け、市は19年度も緊縮路線を継続。市税で賄うダイヤル24に市外からの相談が増えれば、業者との契約金を見直す事態も想定される。このため市のホームページでは案内だけで電話番号は載せず、広報紙の隅で番号を紹介するにとどめているという。

 「だから市外の人が読む新聞にはちょっと…。市民のためなら支出が増えても問題ないですが」と担当者は申し訳なさそうに話す。

 だが、市消防本部が18年に救急搬送した4178件のうち約半数は救急車を呼ぶ必要性が低く、不要不急の出動は依然として多い。このままでは全ての搬送要請に消防が対応できなくなる可能性があるという。

 ダイヤル24では相談者に住所を伝えてもらうが、疑いの目に積極広報を控える市のジレンマは深い。

 こうした救急相談ダイヤルを独自に運営する自治体は西宮市や三木市など複数ある。片や総務省消防庁は2年前から「♯(シャープ)7119」の普及を呼び掛け、既に東京都や横浜市、神戸市などが導入。芦屋市は19年度、神戸に分担金を支払い、受付センターを利用する。自治体単独より費用を抑えられるという。(門田晋一)