【平成の長崎】三菱重工 最後の大型客船「アイーダ・ペルラ」出航 平成29(2017)年

 三菱重工業が長崎造船所(長崎市)で連続建造した大型客船の2隻目、アイーダ・ペルラ(12万5千トン)が5月3日、6月に始まる地中海クルーズの拠点となるスペイン・マヨルカ島に向け出航した。同社はこれを最後に10万トンを超える大型客船の建造から撤退し、中小型客船の受注に注力する。

 2隻はドイツのアイーダ・クルーズ社向けに受注した。全長300メートル。デッキ数18、客室数1643。多目的シアターやビール醸造設備があるビアホール、プール、カジノなどがある。設計変更などで2隻とも納期が遅れ、累計2540億円の特別損失を出した。

 この日は長崎造船所香焼工場(香焼町)に接岸していたアイーダ・ペルラが午後6時半ごろ、タグボートに引かれて出発。対岸で見物客が見守る中、ライトアップされた船体がゆっくりと長崎港内を進んだ。

 三菱重工は「1隻目の反省や知見を生かし、いい船に仕上がった」。現場関係者は「ようやく完成し、ほっとした」、三菱重工OBは「大型客船は最後と考えると、寂しい」と語った。

 一方、三菱重工が建造した日本郵船の中型客船、飛鳥Ⅱ(約4万9千トン)の後継船建造について両社が協議中。別の三菱重工OBは「客船建造は船の大小によらずノウハウと経験がものをいい、長崎は先頭集団にいる。今後も続けてほしい」と語った。
(平成29年5月4日付長崎新聞より)
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スペインに向け出航する大型客船アイーダ・ペルラ=長崎港

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