春の風物詩、梅と桜。これらの花を見て、春を感じる方も多いのではないでしょうか。
関東在住の筆者は、梅はまだまだ寒さの残る早春、桜は体感的にも暖かさを感じられる春のイメージがあります。しかし梅と桜は地方によって咲く時季が異なります。
北海道出身の方に「北海道では梅よりも桜のほうが先に咲くことがある」とお聞きしたときはとても驚いたものです。札幌では、2017年、2018年と2年連続で梅と桜が同日に開花しています。北国の春は一気にやってくるのですね。
では一体、梅前線と桜前線はどのくらいのスピードの差があるのでしょうか。
札幌―東京間(831km)の、昨年2018年の梅前線と桜前線のスピードを比較してみました。
■梅前線の時速は
東京の開花日は1月19日、札幌の開花日は4月26日でした。梅前線は97日間で831kmを移動したことになります。
97日間は2328時間ですので、梅前線の時速は…
831km÷2328時間=0.36km/時
■桜前線の時速は
東京の開花日は3月17日、札幌の開花日は4月26日でした。桜前線は40日間で831kmを移動したことになります。
40日間は960時間ですので、桜前線の時速は…
831km÷960時間=0.87km/時
桜前線は梅前線の2倍以上のスピードで北上し、北国では追いついてしまうのですね。人が歩く速度は、時速約4キロですから、それと比べるとどちらもずいぶんゆっくり進んでいきます。お花見を楽しみながらのんびり歩くくらいのスピードでしょうか。
梅も桜も、開花を左右するのは冬の寒さと春先の暖かさです。秋になると花芽は休眠に入り、その後冬になり一定期間の低温にさらされて目覚めます。これを休眠打破といいます。休眠打破の後の暖かさで花眼が成長し開花するのですが、休眠打破の条件が梅と桜では異なります。
梅のほうが桜よりも休眠が浅いため、休眠打破後、暖かい日が続けばすぐに開花します。このため、関東などでは梅の開花が早いのですね。一方北海道など気温が低い地域は、休眠打破は早いもののその後の気温上昇がゆっくりですので、梅の開花が遅くなります。
さて、今季の梅の開花は12月21日に高松でスタートし、ゆっくりゆっくり歩みを進めています。
桜の開花はいつになるでしょうか。日本気象協会が2月21日に発表した桜開花予想では、全国的に平年よりも早いところが多い見込みで、開花トップは福岡で3月16日の予想。名古屋は3月19日、東京は20日、大阪は22日の予想です。桜開花予想は、気温経過に伴い更新されます。お花見が今から待ち遠しい方は、ぜひ最新の桜開花予想をご確認ください。
(気象予報士・齊藤愛子)