マツダ ロードスター(2018年改良モデル)実燃費レポート | 進化を続けるライトウェイトスポーツの燃費はいかに?

マツダ ロードスター

マツダ ロードスター(2018年改良モデル)の実燃費を徹底検証!

マツダ ロードスター

今回の燃費テストに持ち出したのは、国産車では唯一無二の存在となった小型FRオープン2シーターのマツダ ロードスター。1989年のデビューから今年で30周年となるロードスターは、現在4代目となる通称ND型が現行モデルとなっている。

現行モデル自体は2015年5月にデビューしているが、2018年6月に実施された商品改良でメタルトップを持つRFとともにソフトトップモデルも改良を受けている。

大幅な出力アップがなされたSKYACTIV-G 2.0と同様にSKYACTIV-G 1.5エンジンも燃焼改善技術を織り込み、全回転域のトルクを現行同等以上に高めながら、環境・燃費性能を向上。カタログ数値上は+1PS(+1kW)/+0.2kgf・m(+2N・m)と僅かではあるものの、レスポンスフィールの向上などダイレクトなコントロール感に磨きをかけ、数値以上に人馬一体感に磨きをかけている。

カタログの燃費数値は、従来型がJC08モード燃費で17.2km/L、改良型はWLTCモード燃費となって16.8km/Lとなっている(ともにSグレードの数値)。

測定方法が異なるため、純粋に比較することはできないが、JC08モード燃費よりもシビアな数字になりやすいWLTCモード燃費でも0.8km/Lしか低下していないところを見ると、もしかしたら燃費性能もアップしているのではないだろうか? そのあたりも含めてチェックしてみたいところだ。

◆マツダ ロードスター(2018年改良モデル)の内外装を画像でチェック

起用グレード

マツダ ロードスター グレード:S│ボディカラー:スノーフレイクホワイトパールマイカ
マツダ ロードスター グレード:S│ボディカラー:スノーフレイクホワイトパールマイカ

今回のテストに使用したロードスターは、ラインナップの中で唯一車両重量が1トンを切っている(990kg)Sグレードの6速MT仕様。

そもそもSグレードにはATの設定がないので、必然的にMT車となる。MT車だとシフトチェンジのタイミングで燃費が大きく変わってくるが、基本的にはメーターに表示されるシフトアップ&ダウンのインジケータ表示に極力従ってシフトチェンジを行っている。

燃費テスト概要

今回の燃費測定は2月7日に実施。

天候は晴れで、最高気温は20度に届くかという小春日和。ルーフを開けて走行したい陽気だったが、空気抵抗が増大し燃費に影響が出ることを考慮し、全行程でクローズド走行とした。

朝11時ごろに青山にあるオートックワン編集部を出発し、高速、郊外路、市街地・街乗りの順で走行し、16時ごろに再びオートックワン編集部へ戻るルートを選択。燃費の数値は総合以外車両の燃費計を使用している。エアコンはマニュアル仕様のため、ドライバーが快適と感じる温度をキープするように適宜操作した。

マツダ ロードスター(2018年改良モデル)の総合実燃費は…?

マツダ ロードスター(2018年改良モデル)の実燃費は19.64km/L

結論から言うとトータルで158.6kmを走行し、全行程を走り切ったトータルの燃費数値は19.64km/Lとなった。WLTCモード燃費が16.8km/Lということを考えるとハイオク仕様とはいえかなり良い数値と言えるだろう。

ちなみにクルマが表示するインジケータはかなり早いタイミングでシフトアップをするように指示を出すようで、平坦な場所であれば2000回転くらいでシフトアップ表示が出ることも少なくなかった。

しかし、だからと言ってガクガクすることはもちろんなく、トルク不足を感じるシーンも皆無。筆者は初代(NA型)の1.8リッターモデルを所有しているが、低中速域でのトルク感は1.5リッターの現行モデルの方が高かったので、非常に複雑な気持ちである……。

それではここからは走行シーンごとの燃費や走りっぷりなどをお伝えしていこう。

マツダ ロードスター

マツダ ロードスター(2018年改良モデル)の市街地・街乗りでの実燃費:16.2km/L

マツダ ロードスター(2018年改良モデル)の市街地・街乗りでの実燃費:16.2km/L

アイドリングストップ機構(i-stop)や減速エネルギー回生機構(i-ELOOP)を持たないSグレードだけに、燃費に寄与するのは軽量ボディだけと、いささか厳しい条件となる渋滞の多い市街地走行。

しかし、52.5kmを走行してメーター上の燃費は16.2km/Lと思ったよりは悪くない。WLTC市街地モード燃費が12.0km/Lだから、今回はかなり良好な数値と言えそうだ。

MT車だとどうしても面倒な渋滞だが、ロードスターは比較的クラッチも軽めで扱いやすいため、それほど神経質にならなくても楽々発進できる。

また、シフトストロークも短く、スコスコと小気味よくシフトゲートに吸い込まれていく感覚はクセになるほど。シフト操作ですら楽しめるので、渋滞時のストレスも他車に比べて少ないものだった。

マツダ ロードスター(2018年改良モデル) 実燃費レポート | 郊外路編

マツダ ロードスター(2018年改良モデル) グレード:S│ボディカラー:スノーフレイクホワイトパールマイカ

マツダ ロードスター(2018年改良モデル)の郊外路での実燃費:20.6km/L

マツダ ロードスター(2018年改良モデル)の郊外路での実燃費:20.6km/L

郊外路はおよそ30km(実走行28.7km)の道のりで走行車両も信号も少ないため、一定のペースで走行できるシーン。軽量コンパクトで、ステアリングレスポンスも良好なロードスターにとっては走らせるのが気持ちいいコースだ。足回りも適度にストローク感のあるもので、乗り心地も決して悪くないため、同乗者がいても不満の声が出る可能性は低いだろう。

そんな郊外路での燃費は20.6km/L。スポーツカーながら堂々のリッター20km超とは恐れ入る。WLTC郊外路モード燃費は17.7km/Lとなっているから、ここでもカタログ燃費を大きく上回る数値となった。もちろんここでもインジケータの表示に合わせてシフトチェンジをしているが、ストレスを感じるシーンは皆無だった。

マツダ ロードスター(2018年改良モデル) グレード:S│ボディカラー:スノーフレイクホワイトパールマイカ

マツダ ロードスター(2018年改良モデル)の高速道路での実燃費:22.5km/L

マツダ ロードスター(2018年改良モデル)の高速道路での実燃費:22.5km/L

最後は高速道路を通るルートを振り返る。

今回は芝公園出入り口から首都高に乗り、東京湾アクアラインを経由して圏央道の茂原長南インターで下りるルートを走行し、走行距離は77.4kmとなった。

法定速度を遵守しているため、基本的に左側車線の住人となって淡々と走行していたが、空気抵抗の少ないスポーツカーらしいフォルムと軽量ボディが相まって、速度を維持するのにほとんどアクセルを開けることなく走ることができた。

その結果、高速道路での燃費は驚きの22.5km/Lをマーク。6速MTではあるが、6速も極端にギア比の離れた燃費スペシャルというわけではない。しかし、WLTC高速道路モード燃費の19.5km/Lを超える数値を見せてくれた。

マツダ ロードスター(2018年改良モデル) 実燃費レポート | 総合実燃費編

マツダ ロードスター

マツダ ロードスター(2018年改良モデル)の総合実燃費:19.64km/L

今回の新型ロードスター(2018年改良モデル)の燃費テストは、街乗り・郊外路・高速道路と合わせて158.6kmを走った結果、総合実燃費は19.64km/Lとなり、WLTCモード燃費の16.8km/Lを大きく超える結果となった。特に郊外路と高速道路でリッター20kmを超える数値をマークした点は驚かされる。

スポーツカーであると同時にオープンエアモータリングを楽しめるロードスターは、決してエンジンをブン回して走るだけが楽しみではなく、のんびりと屋根を開けてクルージングする楽しみも持ち合わせているわけだが、のんびり走ったときは低燃費で走行できるというのはその魅力をさらに増幅させてくれることだろう。

ちなみに筆者の所有する初代モデル(NA型)は、どんなにおとなしく高速道路を走ってもリッター15kmが関の山。結果的に30年の技術の進化をまざまざと見せつけられる結果となってしまった。でも、初代には初代の良さがあるからいいのだ!!!

[筆者:小鮒 康一/撮影:茂呂 幸正・小鮒 康一]

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