市川海老蔵&三宅健の「六本木歌舞伎」が開幕。アドリブ満載! 新鮮な絡みが笑いを誘う!!

市川海老蔵と三宅健が共演する「六本木歌舞伎 第三弾『羅生門』」が東京・EXシアター六本木で開幕。海老蔵、三宅のほか、市川右團次、市川九團次らが出演し、演出は第一弾から引き続き、三池崇史氏が担当する。

歌舞伎初出演となる三宅は初日に際し、「海老蔵さんをはじめとする歌舞伎の世界の方々とお芝居をさせていただく中で、時代も空間も飛び越えた真に迫る表現力のすごさを目の当たりにしています。そんな方々とご一緒させていただけることに日々感謝と敬意を払い、一公演一公演をかみしめながら大切に演じていきたいと思います」とコメントした。

本作は、“生きるための悪”という人間のエゴイズムをテーマにした芥川龍之介の代表作「羅生門」をベースに、新たな解釈で描き出すオリジナル作品。荒廃が進む都の羅生門の楼で、金にしようと死人から髪の毛を抜く“老婆”を海老蔵が、老婆と出会って正義を問われる“下人”を三宅が演じた。海老蔵はさらに渡辺綱、三升屋兵庫之助三久、そして市川海老蔵本人役と4役を演じ分け、三宅も下人のほか渡辺綱の家臣・宇源太という2役に挑戦した。

当日に行われた公開稽古では、一幕は、渡辺綱と鬼・茨木童子(右團次)の決闘シーンから始まった。歌舞伎役者同士の迫力ある立ち振る舞いに一気に引き込まれる。場面が変わり、荒廃した羅生門に下人が登場。路頭に迷ってやさぐれ、老婆を襲う下人を熱演。逃げようと駆けだした下人が茨木童子に切られ、そこにスウェット姿の海老蔵(本人)が現れると、突然コミカルな空気感に。「まだ死にたくない」と願う下人と、転生させることができるという海老蔵とのやりとりはアドリブ満載。三宅をからかったり、ムチャぶりしたりする海老蔵。2人の新鮮な絡みが笑いを誘う。「新しい歌舞伎を作りたい」という海老蔵の思いから始まった「六本木歌舞伎」ならではの演出は、歌舞伎初心者にも優しく、ゆるやかに歌舞伎の世界に誘ってくれる。

転生した渡辺綱の家臣・宇源太を、下人とは打って変わって凛々しく演じる三宅。廓の仲居たちとの軽妙なやりとりでは笑いを取る場面も。しかしまたもや茨木童子に切られた宇源太は、再度現れた海老蔵(本人)に転生を願うのだった。二幕は、下人に戻り、羅生門にやってくる場面から始まるが、結局、同じように茨木童子に切られた下人は老婆に諭され、“心の闇”と対峙(たいじ)することに。迫りくる鬼たちとの群舞で見せた軽やかな身のこなしは見事。最後、下人の助太刀に現れた三升屋兵庫之助三久と2人で大見得を切る姿は、実に美しかった。

本作は3月10日までEXシアター六本木、3月13~17日に大阪・オリックス劇場、21~24日に札幌・わくわくホリデーホールで上演される。

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