『浅草岳』の魅力とは
- 標高: 1586m
- 所在地: 新潟県魚沼市・福島県南会津郡
- 最高気温(8月): 23.1℃
- 最低気温(8月): 12.4℃
参考:ヤマレコ
知る人ぞ知る山「浅草岳」。山頂付近には草原や池塘の湿地が広がっており、広がる草原を「浅い草」と見立てたことが名前の由来といわれています。
北西には二百名山の守門岳、南には十字型の形が特徴的な田子倉湖があり、山頂からの眺望が良いことが人気の日本三百名山です。
ヒメサユリの宝庫
薄ピンクの可憐な花弁が特徴的なヒメサユリの宝庫としても知られ、毎年ヒメサユリを目当てに多くの人が訪れるほど。
6月中旬~7月上旬にかけてが見ごろで、特に前岳から山頂に向けてのエリアや南岳から鬼ヶ面山への稜線上でたくさん見られます。
絶壁の稜線歩き
新潟県側からはなだらかな山容に見える浅草岳ですが、福島県側は切り立つ岩壁や深い谷間がある険しい表情を持ち合わせています。
絶壁上の稜線ではスリルと眺めの良さが楽しめ、他のコースからは迫力ある絶壁を眺めることができるのは魅力の一つです。
難易度と注意点
浅草岳には複数の登山ルートがありますが、全て日帰りで往復可能。登山道はよく整備され、危険箇所にはロープが設けられていますが、急登や雪渓を歩く場合もあったりと、難易度は中級者向けです。雪渓歩きに不安がある人は軽アイゼンも忘れずに。
どの登山口へも公共交通機関が通じていないため、マイカーでのアクセスが一般的ですが、タクシーを利用した縦走プランなども可能。
浅草岳の登山適期は?
毎年6月の第4日曜日に山開きが行われ、以後冠雪する10月中旬頃までが登山シーズン。シーズン序盤は開花期を迎えるヒメサユリが見もので、多くの人で賑わいます。
秋も深まる10月初旬からは紅葉シーズンが始まり、ブナの原生林を湛える浅草山はブナの紅葉をお目当てに訪れるのにぴったりの山です。
天気も必ずチェック
山頂まで最短距離!【ネズモチ平登山口周回ルート】
- 日程: 日帰り
- コース距離: 7.6km
- コースタイム: 5時間40分
- 難易度: ★★★☆☆
参考:ヤマプラ
はじめに紹介するのは最も登られているメジャーなコース。ネズモチ平登山口からスタートし、ブナ曽根を登って桜尾根を下る周回ルート。
比較的短時間で登頂できるのが特徴ですが、急登やロープが設けられた箇所なども登場します。また、ヒメサユリシーズンの7月でも雪渓が残っていることにも注意しましょう。
コース詳細
スタート地点となるネズモチ平駐車場は広く、水洗トイレや登山ポストもあるのでゆっくりと準備ができます。開山日からのヒメサユリの見頃となるシーズン時は満車になることも多いので、できるだけ早めの到着を心がけましょう。
駐車場からゲートを抜け、舗装された林道を10分程度歩いて登山口まで向かいます。やがて木の杭が立てられているのが見えるので、そこから登山道へ。
序盤は沢沿いを歩くので、ややぬかるんだ道なり。途中で渡渉箇所もあるので滑らないように注意しましょう。
一直線に高度を上げて登っていくため、かなりハード。2時間ほど登った前岳の分岐までたどり着くと、稜線から守門岳が近くに見えます。
草原や池塘が広がる清々しい景色の稜線上ではヒメサユリが目にできますよ。他にもワタスゲやコバイケイソウ、ニッコウキスゲといった高山植物の姿も。
前岳直下や山頂までの稜線上にある雪渓では十分注意してください。草原や池塘の広がる湿地に架けられた緩やかな木道を歩き、20分ほどで浅草岳山頂です。
山頂はそれほど広くないものの、360度の視界で眺めは抜群!眼下には十字型のユニークな形をした田子倉湖が広がり、南西には迫力ある鬼ヶ面山の大岩壁も。ヒメサユリと圧巻ビューのセットが満喫できますよ!
さらに北東方向へ延びるコースへ少し足を踏み入れれば、「天狗ノ庭」という山頂直下の湿原が見渡せる最高のスポットもあります。開けた空間に広がる湿原や貫く木道、所々に残る雪渓といった、美しい景色が堪能できますよ!
下山は桜曽根コースを利用するので、山頂から前岳へと戻り、分岐を嘉平与ボッチへ。
皇太子殿下成婚記念の鐘が見えると桜曽根登山口もすぐそこです。桜曽根登山口からは舗装された浅草林道を通ってネズモチ平へと戻ります。
登山口へのアクセス方法と駐車場情報
小出ICから約1時間、およそ100台程度収容可能な広い駐車場です。水洗トイレあり。
住所:新潟県魚沼市ネズモチ平駐車場
台数:100台
ヒメサユリを満喫したい健脚者におすすめ!【六十里登山口往復ルート】
- 日程: 日帰り
- コース距離: 13.7km
- コースタイム: 8時間5分
- 難易度: ★★★☆☆
参考:ヤマプラ
つづいて紹介するのは、眺めの良い稜線歩きとヒメサユリを楽しみたい人におすすめのコース。浅草岳の登山道の中でも随一の群生地が楽しめます。
コース距離が長く、痩せ尾根歩きもあるなど難易度はやや高め。稜線上は日陰がないので、日差し対策も必要です。
コース詳細
スタート地点は六十里越トンネル近くにある登山口。車道の脇に駐車スペースがあります。
最初の目印となるマイクロ中継アンテナまでは樹林の急登。マイクロ中継アンテナを過ぎれば、南岳までは緩やかな登りとなります。
道中では、山ではお馴染みの花「イワカガミ」や、吊り下げ式ランタンのような形が特徴的な「ウラジロヨウラク」など、様々な花が楽しめます。
南岳が近づくと視界も開け、奥只見の山々や田子倉湖など素晴らしい展望が広がります。
また、南岳へ向かう途中からヒメサユリが登山道脇に姿を見せ始め、天空のヒメサユリロードもすぐそこだと実感できます。特に南岳から鬼ヶ面山にかけての稜線はヒメサユリの群生が見られますよ!
鬼ヶ面山・北岳を経て浅草岳山頂へ。稜線歩きで周囲の展望も美しく、鬼ヶ面山を越えた先の稜線ではこれから歩く大岩壁が迫力ある姿で目に飛び込んできます。
北岳から浅草岳へと続く痩せ尾根はアップダウンが続くので、こまめに休憩して一歩一歩進みましょう。
山頂からは歩いてきた稜線や鬼ヶ面山の姿などが一望できます。帰りの稜線歩きもハードなので心して下山しましょう。
登山口へのアクセス方法と駐車場情報
小出ICから県道371号・70号、国道252号を経由し約1時間。新潟県と福島県の県境にある六十里越トンネルの傍、新潟県側に出たところの国道252号沿いに駐車場があります。
住所:福島県南会津郡只見町田子倉/新潟県魚沼市
台数:20台
タクシーを利用する人におすすめ!【中先尾根‐ブナ新道ルート】
- 日程: 日帰り
- コース距離: 10.4km
- コースタイム: 7時間40分
- 難易度: ★★★☆☆
参考:ヤマプラ
最後に紹介するのは、マイカーではなく公共交通機関やタクシーを利用する人におすすめの縦走コース。ブナの自然林の中も歩くので、紅葉の時期は特におすすめです。また、開山日には只見駅から無料の送迎バスも出ますよ。
コース詳細
只見駅からタクシーで只見沢登山口へと向かいます。登山口近くには無料で使用できるトイレ付きの休憩所も。
スタートしてしばらくは只見沢沿いの道を進みます。ほどなくして現れる幽ノ倉沢の橋を渡ると、見事なブナ林の登りに景色が変化。
登山口からおよそ1時間半ほどで標高900m地点にある「田子倉眺め」へと到着。ここからは眼下に田子倉湖を見渡せ、反対に見上げれば眼前に大きく浅草岳の姿を捉えることができます。
剣ヶ峰は「鬼ヶ面眺め」とも呼ばれ、鬼が面山の迫力ある大岩壁と浅草岳へと続く稜線が目の前に広がるスポット。夏は谷筋に残る雪渓が、秋には紅葉した木々が彩りを添え、素晴らしい景色が広がっています。
剣ヶ峰から先では、鮮やかなピンク色のベニサラサドウダンが咲き誇っているのが目にできますよ!
山頂から南側を見渡せば、鬼が面山や南岳方面へと続く稜線がくっきり!さらにその後ろには越後三山が控えている様をその目に一望できます。
山頂からは来た道ではなく北東方向へ延びるコースへと下山します。草原と池塘広がる天狗ノ庭へ降り立てば、木道が走る湿地帯の美しい光景の中をハイキング気分で歩くことができますよ。
下山に通るコースはブナ平新道と言われるだけあり、見事なブナ林が広がっています。秋には一面が紅葉で彩られ、最後まで飽きずに歩くことができるでしょう。沼の平分岐まで下ったら、右手の登山口方面へ。沼近辺の登山路は崩壊しているので、行かないように注意してください。
山頂からトータル約4時間ほどで、国道289号傍にある入叶津登山口へと下山できます。入叶津登山口へタクシーを呼んで只見駅へ。
入叶津登山口へのアクセス方法と駐車場情報
入叶津登山口へは、会津坂下ICから国道252号(沼田街道)、国道289号を経由し、約1時間15分。小出ICから県道371号・70号、国道252号を経由し、約1時間25分。
公共交通機関を利用する場合は、最寄り駅が只見駅となります。
住所:福島県南会津郡只見町叶津 国道289号沿い
台数:10数台
下山したら行きたい温泉情報
浅草山荘
ネズモチ平コースで登山した人におすすめ。登山口への道の途中にあり、必ず通るので気軽に立ち寄れますよ。
住所:新潟県魚沼市大白川887-127
電話番号:025-796-2331
営業時間:11:00~17:00(定休日:木曜日)
料金:大人/620円、小人/320円
浅草山荘
只見保養センター ひとっぷろ町湯
六十里登山口や只見沢登山口から登るコースを選んだ人はココ。大浴場の他、サウナやマッサージ、丼ものや麺などがいただけるお食事処もあります。
住所:福島県只見町大字只見字新屋敷下2508-8
電話番号:0241-82-2393
営業時間:12:30〜21:00(定休日:月曜日)
料金:大人/500円、小人/200円
只見保養センター ひとっぷろ町湯
魅力満載の浅草岳。どの登山道で楽しむ?
山頂の湿原にヒメサユリの群落、眺めの良い稜線歩きや山頂の360度パノラマ、紅葉のブナ林…など、実に山歩きの魅力がひとつに凝縮された山といっても過言ではありません。秘境にそびえる魅力たっぷりの浅草岳。是非登ってみてください!