<再生への視点 統一地方選を前に>・9 大村市区 大村バスターミナルビル 建て替え協議は難航 まちづくりにどう活用

©株式会社長崎新聞社

 長崎県大村市のJR大村駅前。町の“一等地”に、かつて大村のランドマークの一つに数えられた建物がある。東三城町の大村バスターミナルビル。「ショッピングセンターとビジネスホテルが入った画期的な建物だった。2基のエレベーターと、1階のエスカレーターはそのなごり。屋上にはビアガーデンもあった」。オープン当時を知る関係者らはそう懐かしむ。
 活況を呈したビルも、落成(1974年3月)から40年以上が経過した今は老朽化が著しい。2015年には耐震基準を満たしていないことも明らかになった。改修か解体か、県や市など関係機関の協議は難航。昨夏、おおむね5年以内に解体し、建て替える方針がようやく固まったものの、具体的な協議はこれから。曲折も予想されている。
 ターミナルビルは地上6階地下1階建て、延べ約9240平方メートル。1階に県営バスターミナル、2階に貸事務所、3階に大村商工会議所、4階以上にホテルが入る。雑貨や衣料、飲食店などのテナントも入居し、ショッピングセンターとしてにぎわっていたが、モータリゼーションの流れに加え、相次ぐ大型商業施設の進出もあり、次第に陰りを見せていった。
 協議が難航した背景には、土地、建物の所有が複雑という特殊事情がある。土地は県(約1540平方メートル)と市(約1810平方メートル)が所有。建物は1階を県、2階を大村バスターミナルビル、3階を大村商工会議所、4階以上をホテルが区分所有しており、解体し、建て替えるにも費用負担がネックとなる。
 市は解体時期は未定とした上で、昨年12月市議会に基本設計費246万円を盛り込んだ補正予算案を提出、可決された。実際の解体には概算で1億6千万円必要とみられている。国の補助制度を活用できても、建物を所有する民間企業、大村商工会議所でつくる管理組合法人には数千万円以上の負担がのし掛かるため、関係者は「マンションなどとの複合施設にして資金を回収できるようにしないと厳しい」とみている。
 地方の人口減、過疎化が進む中、転入超過にある同市。2022年度の九州新幹線長崎ルート暫定開業に合わせ、市内には新幹線駅舎も整備される。ターミナルビル周辺には10月に開館する県立・市立一体型図書館、市民交流プラザ、中心市街地複合ビルなどがあり、建て替え後は「まちづくりの拠点となる施設」(同市)だ。「交通の結節点としてターミナル機能は残したい」(県)などの要望が上がる中、官民が連携し、どう将来像を描くのか、注目が集まる。

老朽化が著しい大村バスターミナルビル=大村市東三城町