給食は地方によって違うのだ。「ルールの多様性」を知る大切さ【ルールをつくる習慣づくり[5]】

今回は「多様なルール」について話したいと思います。

ローカルルール「革命」

ルールや常識というものは、場所や時代によって異なります。たとえばトランプのゲームなどはルールあってのものですが、様々なローカルルールがあったりします。代表的なものは「大貧民(地域によっては大富豪)」というゲームでしょう。このゲームに「革命」というルールがあり、革命が起こると強い札と弱い札の順番が逆になるというものです。「革命」という名前の通り、かなりの大技ルールなのですが、これは地域によっては「革命?って何?」という感じで、まったくルールとして存在していない場合さえあります。

給食に出てくるものも地域によって違う

筆者は子どものころ、小学校を3つ転校しました。すると、各々の学校で給食におけるルールや出てくるものが違い、困惑した覚えがあります。

ある日、給食に謎のハチミツが出ました。それがハチミツだということはわかったのですが、まず、なぜ給食にハチミツが出てくるのかが理解できなかったのです。前の学校でハチミツが給食に出たことはなく、家庭でもハチミツはホットケーキにつけることがあるくらいでした。

そしてさらに給食のハチミツは容器に切り込みなどがなく、どうやって開けるのかさえわからなかったので、同じ班の同級生に「これは、どうやって食べるの?」と聞いたら、「山本くんはハチミツも知らないの〜?」と嘲笑されてしまいました。

結局、このハチミツはパンにぬって食べるジャムのような用途であり、切り口はなく歯や指でねじ切って開けるものだったのですが、パンにハチミツを塗る習慣もなければ、開け方も見たことのないものが「常識」の学校に来たことにより、小学校5年生の自分は「常識というものは、地域や学校によって全然違う」ということを思い知らされたのでした。

また、この学校では大好きなミネストローネが給食に出たことがあり、「おかわりがほしい人」という給食係の声が上がったので、並びに行ったら「まだパンをたべ終わってないからスープのおかわりはだめに“決まってるじゃない”」と係に怒られたのでした。前の学校では、そういったルールがなかったのですが、なにより「決まっているじゃない」という一言に対して「なぜ彼女は、こういうルールを”決まっている“ことに疑いがないのか」という発想に興味をもつようになりました。

そのあたりから、世の中にある”XXXに決っている“と自分が思っていることも、実は”決まったことではないのかもしれない“と疑うようになったのです。

引っ越し、転校をしていない子どもたちが「違う常識に出会うきっかけは?」

筆者は、転校がきっかけで、「常識はひとつではない」ということに気づかされました。しかし、同じ地域にずっと住み、大きな常識な変化を経験したことのなかった学生自体の友人や後輩は社会に出て、カルチャーショックを受けていた仲間も少なくなかったように思えます。

会社だけでなく、恋人ができ結婚を考えるようになったときなどに、二人の「常識の違い」に悩む仲間もいました。以前、「彼氏が電子ジャーにいつも杓文字を入れっぱなしにするから気持ち悪い。でもそれが大したことじゃないのもわかっているから、強く言えない。そんなことで喧嘩して別れたくない」というような悩みを真剣に打ち明けられ、常識やルールの違いは、程度に関わらず人によっては大きな問題なんだと考えさせられました。

異なる常識をもつもの同士がリスペクトしあえる「ルール」

シェアハウスでの生活や恋人との暮らしなど共同生活をすると、そこにはさまざまなルールが生まれてきます。ここで「常識」を基準にする必要はないのです。生まれ育った環境や立場、考え方によってさまざまな「常識」がありますが、それよりも大切なことは、共同生活する人たちが、尊敬、尊重しあえるためのルールを作っていくことです。ルールが、生活にそぐわなければ、どんどん変えていったり、追加したり、廃止していくことで、ルールはバージョンアップしていくはずです。

「一度つくったルールだから守ることが大切だ」というような頑な態度では、ルールをバージョンアップしていくことはできません。

ルールを観察することの重要性

自分を取り巻く既存のルールや常識を「なんのためにあるのか?」と観察するのは、新しいルールをつくるうえでのヒントになります。また人の行動を見て、その人なりのルールを理解し、「なぜその人にとってそのルールが大切なのか」を理解したり尊重することも、勉強になると思います。

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