ナイツ&サンドウィッチマンが浅草「東洋館」で共演! BSは放送コードがない!?

ナイツ&サンドウィッチマンが浅草「東洋館」で共演! BSは放送コードがない!?

世はまさにお笑い戦国時代。1960~70年代にお茶の間を席巻したコント55号、ザ・ドリフターズ、やすしきよしらを「お笑い第1世代」とするならば「お笑いBIG3」として今なお君臨するビートたけし、明石家さんま、タモリらが「第2世代」。これに続くとんねるず、ダウンタウン、ウッチャンナンチャンらが「第3世代」。そして現在は「M‐1グランプリ2018」の覇者、霜降り明星をはじめとした「第6世代」の芸人が群雄割拠の中、しのぎを削っている。

そんな現役バリバリの大ベテランから売り出し中の若手まで、新旧芸人が大挙出演する番組が、ビートたけしも修業時代に芸を磨いた東京は「浅草フランス座演芸場 東洋館」を舞台に、2016年4月から放送中の「お笑い演芸館+」(BS朝日)だ。3周年を前にした3月7日放送分では「今絶対に見たい最強芸人大集合!東西オールスター対決」と題し、東からサンドウィッチマン、タイムマシーン3号、ヒロシ、ロケット団…西からオール阪神・巨人、銀シャリ、アジアン、プラス・マイナスらが登場!

収録の興奮冷めやらぬ中、番組で司会を務めるナイツ(塙宣之、土屋伸之)と、今回のゲストの1組であるサンドウィッチマン(伊達みきお、富澤たけし)の楽屋を訪ね、地上波ではなかなか見られなくなった長尺(ちょうじゃく)ネタ番組の魅力、漫才、コント、手品、ものまねなど“本物の芸”を生で見ることができる演芸場ならではの楽しみ方など聞いた。

──長丁場の収録、どうもお疲れさまでした!

4人「お待たせしました、よろしくお願いしまーす!」

──ナイツさん×サンドウィッチマンさんのよるトークがあまりに長いので、取材時間がなくなるんじゃないかと冷や冷やしました(笑)。

土屋「どうもすみませんねー、ココ(2組が)そろうと、ついつい長めに」

「いつもはもっと長いですよね? 中川家さんとやってるイベントなんか2時間の予定のところ4時間くらい掛かったこともあって」

──(笑)、中川家さん、ナイツさん、サンドさんでやられている「漫才サミット」ですね。

伊達「特に千秋楽とか。盛り上がると、止まらなくなるんですよ」

富澤「ホント言うと、僕は早く帰りたいんですけどねー」

「そんなこと言って、今日も一番(富澤が話題を)振ってたじゃないですか!」

──収録を拝見しますと、ゲストの皆さんも落語で言う枕(本題に入る前の小噺)のように、旬な話題や近況から入り。お客さんをイジったり、時に脱線しながら自然とネタに入るなど、それぞれの「つかみ」の話芸に感心しました。

土屋「われわれもやりがちですけど、延々“つかみ”が続く場合もあったりします(笑)」

「放送時間が2時間で収録時間もほぼほぼ2時間なんですけど、よく収まってるなと思いますね」

土屋「それでも、ちゃんと帳尻が合う。それだけ皆さん、場数を踏んでるってことですよね」

「ネタの持ち時間がまた、長いんですよ~。大体の番組は4分でやるところ、『お笑い演芸館+』は最低でもネタは6分から。中には10分くらいやる人もいて。しかも、それを皆さんが思ってる以上にノーカットで放送してますから、限りなく“生”に近い感じでお届けできているんじゃないかと思います」

土屋「おっしゃったお客さんとの掛け合いとか。そういうのもあって、本当に演芸場を訪れた感覚で見ていただけているんじゃないかと」

「今時、長尺(ちょうじゃく)漫才を見られる、稀有な番組。見てくれる人はもちろん、出てくれるゲストにも“『演芸館』いいね”ってよく言われます。『ネタの時間や内容に縛りなく自由にできるのがいい』って。地上波の番組だと、1組のネタがどうしても短くなっちゃいますから」

土屋「テンダラーさんとかヘビーローテーションで出てくださる方々には『もうネタないよ!』って言われますけど(笑)。毎回、長尺のネタやんなきゃいけないから」

──サンドウィッチマンのお二人は『お笑い演芸館+』をどうご覧になっていますか?

伊達「僕らはナイツのように常時、劇場に出てるわけじゃないのでね、貴重な経験の場だと思ってます。出るのも見るのも楽しいですね」

富澤「そうね。新鮮ですし、ずっとテレビで見ていた師匠方の芸を舞台袖で見ながら“ワァ~”って。思わずファン目線にもなっちゃうこともありますね」

──また、ここ「東洋館」は思い出の場所でもあるとか。

伊達「そうなんですよ。『エンタの神様』(日本テレビ系)のスタッフさんがその当時、いろんな劇場を視察されてたみたいで。たまたま僕らが『東洋館』の舞台に出ていた時に目に留まったようです」

富澤「(後にM‐1グランプリ2007最終決戦で漫才として披露された)ピザ屋さんのネタをやってて。それがきっかけで『エンタの神様』に呼ばれたんですよ」

伊達「そこからはもうグンと。とんとん拍子でした」

土屋「そういう夢が埋まってる舞台でもあるんですね~、『東洋館』は」

「上にいったってことは、あとは落ちる一方ですけど」

伊達「なんでだよ!(笑)」

「でも、そのエピソードは初めて聞いたけど、ホントいい話! 足で探すスタッフさんも含めて。最近、たまーに『ナイツさんのオススメの芸人さんはいますか?』って聞かれることがあって。この間『お笑い演芸館+』でも答えたら、本当に出ることになっちゃったんですよ。青空たのし師匠とか…」

伊達・富澤「ん…!? たのし師匠?」

「あの、ハーモニカ漫談で有名な。(頭を抱えて)まさか、テレビに出るとは…(3月14日放送予定)」

土屋「(笑)、じゃあ、薦めるなよ!」

──自分からは能動的にアクセスしないと出会わない、まだ見ぬ芸人さんに出会えるのも、この番組の魅力ではないかと。

「昭和の名人たちがよみがえる『昭和名人劇場』ってアーカイブのコーナーがあるんですけど、漫才協会の会員でマニアックな師匠方を割りと知ってる僕らですら分からない…この間も大正時代からやっていた砂川捨丸・中村春代師匠とかVTRで出てらっしゃって」

土屋「ご健在であれば120~130歳くらいになられているんですけどね」

伊達「そんなVTRが残ってるんだ? それはすごいねー」

「その捨丸・春代師匠のネタが今見てもめちゃくちゃ面白くて」

土屋「最近はYouTubeとかありますからね。大ベテランから若手、あとは青空たのし師匠のような、劇場でしか見られないマニアックな芸人さんまで(笑)。お気に入りを見つけたら自分たちで映像を探してみるのも楽しいんじゃないかなと」

──3月7日の放送でも、80年代の“MANZAIブーム”をけん引したオール阪神・巨人師匠を筆頭に、芸歴にして30~40年の差がある芸人が一堂に会します。

土屋「そういう面々が同じ舞台に立ってるというのも、この番組ならではですよねー。そういう番組、最近ではなかなかありませんから」

富澤「舞台でしかやらない、ちょっと尖ったネタが見られるのもいいよね?」

「阪神・巨人師匠が言ってましたよ。舞台と違ってテレビは下ネタができないって」

土屋「今日も師匠方、まあまあやられてましたけどね(笑)」

富澤「BSって放送コードがないから」

伊達「あるわ!(笑)」

「僕ね、2008年のM‐1の2カ月くらい前に巨人師匠のブログに<ナイツくんの漫才は非常にいい。でも、一つだけ欠点がある>と書かれていたんで、思い切ってショートメールか何かで尋ねたんですよ。そうしたら<欠点は下ネタです>って返信がきて。そこから漫才がブレにブレちゃったんですけど(笑)、ご自分たちは下ネタをやってるっていう!」

伊達「(笑)、毎回『肛門見えても』とか言ってたからだと思うよ、塙くんの場合」

土屋「阪神・巨人師匠の下ネタはかわいらしいからね。そういう地上波ではなかなかできないネタにもね、この番組は比較的、寛容ですから(笑)。そこも魅力の一つになっているんじゃないでしょうか」

伊達「でもよかったー、俺ら今日、下ネタ一切、言ってないから」

土屋「(笑)、のっけから『富澤の○○タマが…』で始まったでしょうが!」

──(笑)、例えば先日、ピンクの電話さんが十数年ぶりに漫才を披露されたり、今ではネタをやらなくなってしまった大物芸人の復活も話題になっていますが、それぞれ見てみたい先輩方はいますか?

「ダチョウ倶楽部さんも来ていただいたことがあるんですけど、やはり学生時代にテレビで見ていた先輩方のネタは見てみたいですね。とんねるずさんとか、ダウンタウンさんとか」

富澤「コントも見たいね。B‐21スペシャルさんとか」

土屋「ヒロミさんがやられていた伝説のトリオですね」

伊達「あとは、くりぃむしちゅーさんとかネプチューンさん」

「あとココ浅草、という意味ではツービートさんかな。皆さんやはり、いきなり地上波のゴールデンでやるのは勇気いるでしょうから、この番組で試していただいて」

伊達「(笑)、そういう位置づけなんだ? この番組」

「『漫才サミット』じゃないですけど、中川家さん含めたわれわれ3組のユニットとかやるのもいいかもしれない。番組発でウケたら、また『漫才サミット』でそれやって」

土屋「普通はね、最初にライブで試して。ウケたらテレビでやるもんなんですけど」

富澤「(笑)、やっぱ“試す場”なんだね、ココ?」

──そういう新ネタやテレビに乗らないネタを見られるのも舞台の楽しさですね。

伊達「どこにでも劇場があるわけではないですが、機会があれば直接ライブなりにも足を運んでいただきたいですね。やはり生の芸、本物の芸というのは劇場でないとなかなか見られないと思いますし。テレビでは上手にカットされたり編集されたりするんで」

土屋「この番組をきっかけにね、『東洋館』をはじめとする全国の劇場が元気になってくれたらうれしいですね」

「子どもの頃には、こういう劇場から中継する番組がたくさんあったと思うんですよ。ネタの持ち時間とか内容とか、そんなに制約がなくて。漫才にコント、落語にマジック、ものまねなんかがごちゃ混ぜで見れたネタ番組が」

富澤「あった、あった。面白かったなー」

伊達「『花王名人劇場』(フジテレビ系=関西テレビ制作)とか。あの番組、僕が唯一見ていいと言われてた番組なんですよ、親が厳しかったんで」

土屋「この番組も、そういう番組に育ってほしいですよねー。ご家族そろって楽しんで見てもらえるような」

「とか言って、○○タマとか言ってましたけどね(笑)」

土屋「(笑)、そこは、そこで。ワイワイと団らんしてもらえたらいいんじゃないの?」

「ではでは皆さん、そんないろいろと楽しい番組を、ぜひご覧ください!」

【プロフィール】


ナイツ
2001年、大学の落研で一緒だった塙宣之と土屋伸之がコンビ結成。08年以降、3年連続で「M-1グランプリ」決勝に進出。ほかにも03年「漫才新人大賞」大賞など受賞歴多数。漫才協会、落語芸術協会所属。
<公式サイト>https://www.maseki.co.jp/

サンドウィッチマン
1998年、宮城県仙台市の高校で同級生だった伊達みきおと富澤たけしがコンビを結成。2007年の「M‐1グランプリ」王者になりブレーク。18年度の「好きな芸人ランキング」で第1位にランクインした。
<公式サイト>http://grapecom.jp/

【番組情報】


「お笑い演芸館+」
BS朝日
木曜 午後9:00~10:54

3月7日は「今絶対に見たい最強芸人大集合!東西オールスター対決」。東から「好きな芸人ランキング」堂々1位のサンドウィッチマン、タイムマシーン3号、ヒロシ、U字工事、ロケット団、西からオール阪神・巨人、銀シャリ、アジアン、プラス・マイナス、じゅんいちダビッドソンらが登場! 3月14日は「笑点」でおなじみ三遊亭小遊三が率いる東京芸人特集。ねづっち、宮田陽・昇、チャーリーカンパニーなど浅草を中心に活躍する東京芸人が集合する。

取材・文/橋本達典 撮影/尾崎篤志

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