佐世保工業高 3学科閉科 歴史に幕 全日制 材料技術科、定時制 機械科、建築科

 佐世保市瀬戸越3丁目の県立佐世保工業高(長池紀英校長)で2月28日、全日制と定時制の計3学科の閉科式があり、生徒や卒業生が思い出を振り返りながら歴史の終わりを惜しんだ。
 全日制は、金属やセラミックスの加工などを学ぶ材料技術科が閉科した。1960年にできた採鉱冶金科(冶金専攻)に始まり2千人以上が卒業。少子化に伴う同校の定員削減のため、2017年度分から募集を停止していた。
 閉科式には生徒や同窓会関係者など約80人が出席。長池校長は「素材の技術を学ぶ学科を失うことは工業技術と学校にとって痛恨の極み。新しい製品を生み出す力を残された学科で引き継ぎたい」と式辞を述べた。
 定時制は機械科(1944年開設)と建築科(49年開設)が閉科。定員割れなどを背景に16年度から両学科の領域と電気について学ぶ工業技術科として生徒を受け入れていた。
 約90人が集まった閉科式では、建築科4年の田端直也さん(19)が「(アルバイトと学業の両立で)学校生活が心の支えだった」と感謝。「寂しいが最後の卒業生として頑張りたい」と決意を述べた。
 OBも“物づくり”で閉科式に花を添えた。学校生活をスライドショーにまとめた材料技術科卒業の岩崎悠一郎さん(20)=佐世保重工業勤務=は「独特の技術があり、生徒も明るい学科だったのでもったいない」と寂しげ。市内の石材店に勤め、記念モニュメントを制作した建築科卒業の大古場広吏さん(42)は「定時制に通い、人より早く社会に出たことは人生のプラスだった。残る物を手掛けられたのは卒業生としてうれしい」と話した。

材料技術科の最後の生徒と教員ら=佐世保市、県立佐世保工業高
定時制の機械科と建築科の閉科式で学校生活について振り返る田端さん=県立佐世保工業高

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