富士でのスーパー耐久公式テストに36台が参加。総合トップタイムはMP Racingが奪う

 国内ビッグレースで2019年最初にシリーズの幕を開ける、ピレリ・スーパー耐久シリーズの公式テストが、富士スピードウェイを舞台に3月2日に行われた。

 2台のみの参加となったST-XクラスはニッサンGT-Rを新たに走らせる、MP Racingが総合トップタイムをマーク。そして、初めてバトルが繰り広げられることとなる、GT4車両によるST-ZクラスではENDLESS SPORTSのメルセデスAMG GT4が最速タイムを記していた。

 デイセッションが1時間ずつ3回、そして午後6時からのナイトセッションが2回連続の2時間で設けられた公式テスト。鈴鹿サーキットでの開幕戦を3週間後に控え年間エントリーでは60台を集めたにも関わらず、舞台が異なるせいなのかテストカーー2台を含めても36台のみの参加に留まった。

 特に寂しかったのは、2台のみのST-Xクラス。しかし、ニッサンGT-RのMP RacingとアウディR8のX Worksは、セッションごとトップを入れ替え合った。セッション3で1分40秒508をマークし、総合トップに立ったのは柴田優作をエースとするMP Racing。これに0.2秒差でX Worksが続くこととなった。

総合トップに立ったMP RacingのニッサンGT-R

「テストとはいえ、トップタイムを出せているのは良いことだと思います。クルマは中古なんですけど、今日がほぼほぼシェイクダウンでした。今まではスーパーGTでヨコハマタイヤを履いていて、今回からピレリタイヤを履いたんですが、最初からユーズドタイヤでも良いタイムが出たので、手応えも十分感じています。欲を言えば、もっと他のクルマにも出てきてもらって、比較したかったんですけどね」と柴田。

 総合3番手につけたのは、ST-1クラスでアウディR8 LMSを走らせたTRACY SPORTS。ポルシェのカップカーを走らせたD’station Racingに2秒の差をつけた。その大差の理由は、ワンメイクレース用のカップカーとはいえ、クルマはファーストジェネレーションと呼ばれる、初代のFIA-GT3車両だったからだ。

ST-1クラスのTRACY SPORTSが走らせるアウディR8 LMS

 ドライバー4人はいずれも中国人、うちふたりはCTCCでチャンピオン経験も持つことも、快進撃の理由となったかもしれない。なお、ナイトセッションではデイセッションのタイムをも上回り、より差を広げることともなった。

■ST-Zクラスは3台が参加

ST-Zクラスを戦うENDLESS SPORTSのメルセデスAMG GT4

 姿を見せた3台いずれも、スーパー耐久初お目見えとなるST-Zクラスでは、山内英輝と高橋翼がドライブしたENDLESS SPORTSのメルセデスAMG GT4がトップ。他を1秒以上引き離していた。

「僕らだけシェイクダウンじゃないっていうのが大きいと思いますが、まだまだタイムは伸ばせそうな雰囲気です。フィーリングは市販車の進化したような感じで、誰でもすぐ乗りこなせそうな雰囲気はあるんですが、レーシングカーに比べるとコーナーで車速が落ちちゃうので、しっかり抑えなきゃいけないし、基礎のドライビングが必要だと感じました。でも、ストレートは速い! BRZよりもちょっと速いって感じです(笑)」と山内。

 一方、2番手につけたKTMクロスボウGT4をドライブした加藤寛規は、「格好はあんな感じなんですが、意外に乗用車の延長線上にあって動きは普通。コーナーでの速さは感じるんですが、昨年のBoPと一緒だと、ちょっと重たいかな」と語っていた。

ST-ZクラスのKTMクロスボウGT4

 ST-TCRクラスのデイセッショントップは、ニューマシンにスイッチしたバースレーシングプロジェクト【BRP】のアウディRS3 LMS。これにTeam Dream DriveとAudi Team Marsが続き、アウディ勢が上位を独占した。このクラスもまた、ナイトセッションでトップタイムを更新。改めてトップに立ったのは、Audi Team MarsのアウディRS3 LMSだった。

 ST-3クラスは連覇を狙う、TRACY SPORTSのレクサスRC350がトップ。堀田真と阪口良平、そして新加入の堤優威がドライブした。2番手には嵯峨宏紀をエースに、小河諒を新たに加えた、やはりレクサスRC350のLe Beausset Motorsportsがつけていた。

 ST-2クラスはスバルWRX STIを走らせる、TOWAINTEC Racingがトップ。シリーズ新記録となる7連覇に向け、好スタートを切った。今回のテストでは大澤学と石坂瑞基がドライブした。

 そしてテストカーを含み、2台を持ち込んだROOKIE RACINGのトヨタ86がST-4クラスのトップに立った。新チームではあるものの、実は片岡龍也率いるT‘s CONCEPTの兄弟チームであり、「違ったプログラムに挑戦するため」と片岡。

 ベストタイムをマークしたのは佐々木雅弘で、豊田大輔や飯田章らとともに実戦に挑むこととなっている。一方、松井孝允のみの走行となったTOM’S SPIRITのトヨタ86は決勝重視のセットだっため、デイセッションは3番手ながら、ナイトセッションではトップタイムをマークしていた。

 ST-5クラスでは、昨年のチャンピオンカーであるマツダロードスターが最低重量を改められ、20kg増となったため、やや苦戦を強いられている感も……。トップタイムをマークしたのは、ホンダFITを走らせたRFCだった。

 開幕前の公式テストを終えたスーパー耐久シリーズ。開幕戦は、3月23、24日に鈴鹿サーキットで行われる。

TRACY SPORTSの38号車レクサスRC35
ROOKIE RACINGの104号車トヨタ86

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