蕙山苑【34】

室蘭

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敷地4千坪 明治42年建設

室蘭の歴史的建造物として知られる蕙山苑

 室蘭市中央町の小公園から室ガス文化センターの横を通り、清水町に向かう坂道を上った先に、大きな武家門が姿を見せる。「蕙山苑(けいざんえん)」の出入り口だ。栗林商会の創始者、栗林五朔氏が1909年(明治42年)に来蘭する賓客のために建設した。この坂道は「栗林の坂」と呼ばれていた時代もあるという。

 「蕙山苑」。74年(昭和49年)、栗林商会2代目会長、栗林徳一氏の提言で栗林関連会社によるクラブ組織により運営され、現在は栗林商会の厚生施設として利用されている。名前の由来は五朔氏の雅号「蕙堂」から。「蕙」はラン科の多年草で別名「かおりくさ」ともいわれる。「山」は五朔氏が好んだ測量山を意味する。

 96年(平成8年)に発行された「栗林100年史」によると、「正面に棟門を構え、周囲を板塀で囲ったその敷地は約4、000坪、広大な庭園を持ち、建物は約200坪、堂々たる邸宅である」との説明がある。建築にあたり、専門の宮大工を京都や五朔氏の出身地である新潟から呼び寄せたという。神社などによく見られる入り母屋破風の玄関屋根で、内部は檜(ひのき)造り。宮造りの手法で建てられているため一本の釘も使われていない。

 庭園内にはツツジをはじめ多くの木々が育つ。湧き水は滝となりせせらぎをつくる。中程には五朔氏の胸像が設けられている。

 かつて栗林商会の創業120周年を記念し、市民見学会をしたことはあるが、通常は一般公開はしていない。
(北川誠)

(2019年3月3日掲載)