NAロードカーで世界初の1000馬力到達。アストンマーティン、ヴァルキリーのパワートレイン概要を発表

 アストンマーティンは3月1日、レッドブル・アドバンスド・テクノロジーズと共同開発しているハイパーカー『アストンマーティン・ヴァルキリー』に搭載されるV12エンジンおよび、ハイブリッドシステムの概要を発表した。

 北欧神話に登場する半神の名が与えられた『アストンマーティン・ヴァルキリー』はイギリスの老舗スポーツカーメーカーが“究極のロードカー”を謳うハイパーカーだ。

 開発にはF1でパートナーシップを結ぶレッドブル・レーシングが関わり、エアロダイナミクスは“空力の鬼才”とも呼ばれるエイドリアン・ニューウェイが手がけている。2017年に初めてその姿が公になった同車は現在、2019年中のデリバリー開始を目標に開発作業が続けられている段階だ。

 そんなヴァルキリーに搭載されるパワートレインは6.5リットルV12自然吸気エンジン+ハイブリッドであることがすでに伝えられ、ピークパワーは1000馬力を超えることがアナウンスされていた。そんななか今回、アストンマーティンはこのパワートレインのより詳細なスペックに加えて、現在制作中の最新仕様プロトタイプの姿を公開している。

 コクピット後方のミッドシップにフルストレスマウントで搭載されるエンジンはコスワース製で、高回転型のV12 NA型が採用された。1990年代のF1に搭載されていたエンジンをイメージさせるが、当時から20年以上のときを経たいま、設計や構成材料、製造などあらゆる技術分野の進歩を受けて、最大回転数と重量の面で新たな基準を打ち立てているという。

 最大1万1100回転に達するエンジンの気になるピークパワーは1000馬力。これを1万500回転時に発揮する。アストンマーティンによれば、排ガス規制をクリアする市販ロードカーにおける自然吸気エンジンで1000馬力に到達したのは世界初だという。

■モーターアシストで最高1160馬力、900Nmの最大トルクに

アストンマーティン・ヴァルキリーに搭載されるコスワース製6.5リッターV12自然吸気エンジン
最高1160馬力、最大900馬力を発揮するV12 NAエンジンはコクピット後方に搭載される

 しかし、ヴァルキリーはこの驚異的なスペックを誇るエンジンに加えてハイブリッドシステムも備える。F1のKERSのようなブーストシステムとなるこのアシスト機構は、インテグラル・パワートレイン製の電気モーターとリマック製バッテリーシステムによって構成され、最大160馬力がエンジン出力に加算される。

 そのためヴァルキリーの最高出力は都合1160馬力となり、同時に280Nmの電気モータートルクが、エンジンが発する740Nm/7000rpmというトルクに加わることで最大トルクは900Nmに達している。

「アストンマーティン・ヴァルキリーは自動車業界内の“究極のハイパーカー”になるように設定されており、これらのパフォーマンス数値はその声明を強調している」と語るのはアストンマーティンの副社長兼スペシャルビークル・オペレーション責任者を務めるデイビッド・キング氏だ。

「レッドブル・アドバンスド・テクノロジーズ、コスワース、リマック、そしてインテグラル・パワートレインの4社はこのパワートレイン開発における素晴らしいパートナーであり、すでに環境に配慮した排ガス規制に対応したハイブリッドシステムを完成させている。そして、我々もこのパワートレインを最初のプロトタイプに適合させる準備ができている」

「私はこのクルマが初めてトラックに出たとき、人々がその姿とサウンドに信じられないほど興奮することになると確信しているんだ」

 いよいよ本年中に最初のデリバリーがスタートする考えられているアストンマーティン・ヴァルキリー。大詰めを迎えた車両開発は、アストンマーティンとレッドブル・アドバンスド・テクノロジーズ、そしてDTMドイツ・ツーリングカー選手権やブランパンGTシリーズに参戦するRモータースポーツを運営しているAFレーシングの下で継続される予定だ。

アストンマーティン・ヴァルキリー プロトタイプ

© 株式会社三栄