「負けたら監督が悪い」智弁和歌山 前監督・高嶋氏が講演 指導者像や方法で持論

「実力、運、勢い。この三つがそろった時に優勝できると思う」と語った高嶋氏=平安閣サンプリエール

 高校野球の甲子園大会で監督歴代最多の68勝を挙げ、昨夏勇退した智弁和歌山高前監督の高嶋仁氏(72)=長崎県五島市出身=が3、4の両日、長崎市内で講演した。高嶋氏は「今は昔と比べて子どもたちが育ってきた環境が違う」とした上で「指導者に必要なのは謙虚さと視野の広さ。自分も勉強して、選手に理屈で説明できないといけない」と持論を展開した。

 3日は聴講に応募した球児や保護者、高校の指導者ら約100人が来場。高嶋氏は「甲子園で優勝するために何が必要か真剣に考えてきた」と強調して「実力、運、勢い。この三つがそろった時に優勝できると思う。要所要所で、人がやらないこともやった」と振り返った。

 一方で「負けたら監督が悪い。勝ったら選手がいい。負けたときこそ監督の出番。いいところまでいっても負けるチームが長崎にもあると思うが、それは指導者が悪い」と辛口な意見も。自身がお遍路に臨んだ際に出合った「一瞬の感情で地獄に落ちる人もいる。感情に負けない心を磨こう」との言葉などを紹介した。

 甲子園での「裏話」も笑いを交えながら数多く披露。来場者から質問も相次いだ。その中で高嶋氏は指導法の一つとして「選手の自主性を重んじるのは土台をつくった後でいい。それまでは“無駄”も必要。一方で教えすぎても駄目。10のうち5くらい」と述べた。

 高嶋氏は福江中、海星高と進み、高校2、3年時に夏の甲子園に出場。日体大を卒業後、智弁学園高(奈良)での指導を経て1980年に智弁和歌山高監督に就いた。甲子園勝利数は智弁学園で7勝、智弁和歌山で61勝。1994年春、1997年と2000年の夏は全国制覇を果たした。

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