FLIR、Aeryon Labsを2億ドルで買収

2019年1月末にFLIRシステムズは2億ドルでAeryon Labsを買収したことを発表した。Aeryon Labsは軍事、治安、重要インフラ市場向けに高品質の無人航空システム(UAS)を開発するトップ企業だ。Aeryonの垂直離着陸可能なクワッドコプターは複数のセンサーが内蔵されており、FLIRのサーマル技術も組み込まれている。これらのセンサーはユーザーに優秀で反応の早いインテリジェンスや監視・偵察性能を提供する。

カナダに本社があるほか、アメリカ合衆国のデンバーやソルトレイクにオフィスを構えるAeryon Labsは、2007年に設立され、重量20ポンド(約9kg)未満の航空機を活かしたミッション志向のグループ1UASソリューションを設計・開発するトップ企業だ。AeryonのUASは世界30カ国以上で、アメリカ合衆国防衛省をはじめとする20の軍隊によって使用されている。

同社が開発するUASソリューションにはハードウェア、組み込みソフトウェア、地上コントロールステーション、センサー、飛行オペレーション向けソフトウェア、世界中の顧客に向けたサポートサービスが含まれる。

今回のAeryon Labsの買収は、センサーの提供を超えて、人々の命や生活を守る完全なソリューションの開発を目指すという当社の長期戦略を強化するものです。今回の買収、そして2016年のProx Dynamicsのおかげで当社の無人システムソリューションは飛躍的に性能向上し、ナノUASの開発から軍隊向けのグループ1UASソリューションへと事業を拡げていくことができました。

これからも投資を続け、本分野の事業を発展させていくとともに、企業能力を高めていくことに努めていきます。これは今後当社が有機的な成長を続ける上で無人・自律ソリューションが重要になるという考えによります

とFLIRシステムズ社長兼最高経営責任者(CEO)のJim Cannon氏は語る。

丈夫で信頼性が高く、実地での実績もあるAeryonのSkyRanger UASはリュックでの持ち運びが可能で、操縦者1人で数分以内に配備できるものになっている。SkyRanger UASは過酷な環境や悪天候、例えば高い場所や突風、雨、雪の中でも操縦が可能なことで評価されている。

SkyRanger航空機ブランドの最新製品は、小型UASのパフォーマンスと信頼性の新基準を生み出した。モジュラー式のオープンアーキテクチャは、エンドユーザーやサードパーティデベロッパーによるSkyRangerプラットフォームに組み込めるペイロードやソフトウェアシステムの開発を可能にし、結果的に迅速なソリューション開発やオンボードのAI、自律飛行といったことが実現するようになる。

FLIRファミリーに加われること、成長志向のテクノロジー大企業が我々の新たなホームになることに大きな期待を抱いています。ドローン技術やドローン市場が発展していく中、消費者はUASをより広範なソリューションの一構成物として捉えるようになってきています。Aeryonはここ何年かそういった方向性で前進を続けてきましたが、FLIRシステムズの一部になることで、以前の当社なら難しかったであろう規模のソリューションに我々のハードウェア・ソフトウェア技術を組み込むことが可能になります。

とAeryon Labsの設立者の一人であり、最高技術責任者(CTO)でもあるDave Kroetsch氏は話す。

Aeryon Labsは、FLIRの政府・防衛事業部門の無人システム・統合ソリューション部門の傘下に入った。FLIRシステムズの2019年度利益に対して株式は0.02ドル希薄化する見込みだが、これは製品開発への投資を行なっており、それが今後も徐々に増加していくことが予想されるためだ。FLIRシステムズの経営陣は、2019年2月13日午前9時(東部標準時間)に行われる2018年四半期業績の遠隔説明会にて今回の戦略的買収について説明する予定だ。

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