「危険なバス停」安全対策を 県警、バス事業者らが検討会

危険なバス停の安全対策を進めるために行われた県警、バス事業者、道路管理者による合同検討会=県警本部

 横断歩道に近接し、バスの停車時などに死角が生じることで事故を誘発しやすいとされる「危険なバス停」の安全対策を進めるため、神奈川県警やバス事業者、道路管理者による合同検討会が5日、横浜市中区の県警本部で開かれた。県警がリストアップした同じ形状のバス停のうち、移設などで解消にこぎ着けたケースが2割に満たないことが報告され、関係機関が連携して早期に危険性の除去に努めることを確認した。

 検討会には8つのバス事業者、道路管理者の12自治体などが出席。県警の西方昭典交通部長は「抜本的な安全対策が進んでいるとは言い難い状況」と危機感を表明した。県の協力で隣接する高校の敷地を歩行スペースとして整備し、移設が実現した事例などを共有。県警などが製作した死角からの飛び出しに注意を促すステッカーをバスに貼付し、周囲のドライバーへの啓発を進めることも確認した。

 「危険なバス停」がクローズアップされたのは、昨年8月に横浜市西区であった事故。横断歩道に近接したバス停「三ツ沢南町」でバスから降りた小学5年の女児=当時(10)=が、バスの後方を回って横断した際、対向車にひかれて亡くなった。

 県警は事故を受け、11月に同様の形状のバス停84カ所を公表。今年1月上旬までにバス事業者や道路管理者との現地調査を終えた。県警交通規制課によると、2月26日現在で移設などによる対策が完了したのは、三ツ沢南町を含め15カ所にとどまる。移設先の選定に苦慮したり、近隣住民の理解を得られなかったりして難航するケースが目立つという。

 出席したバス事業者は「移設先の確保や、近隣住民との合意形成は容易でないが、抜本的な対策ができるよう粘り強く努力したい」と話した。

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