NASCAR第3戦:トヨタのカイル・ブッシュ、3レース制覇に王手もペナルティで後退。フォード連勝

 2019年のモンスターエナジーNASCARカップは3月3日、第3戦ラスベガスが行われ、ジョーイ・ロガーノ(フォード・マスタング)が優勝。今季から新車を投じているフォード陣営が2連勝を飾った。

 アメリカ東部のデイトナ、アトランタで第1~2戦が行われた2019年のNASCAR。ラスベガスが舞台となった第3戦からはアメリカ西海岸を舞台とする3連戦となる。

 トヨタ陣営では、このラスベガスが地元のカイル・ブッシュがカップシリーズに加え、下位シリーズのエクスフィニティ、アウトドアズ・トラックの2カテゴリに出場。同週末に3シリーズすべてを制覇する“スウィープ”達成に挑んだ。

 先に行われたアウトドアズ・トラック、エクスフィニティともに優勝し、地元でのスウィープ達成に王手をかけたカイル・ブッシュは、予選3番手でカップシリーズ決勝へ。ポールポジションはケビン・ハービック(フォード・マスタング)が奪っている。

 80周、80周、107周の3ステージ合計267周で争われた決勝レース、ステージ1はイエローフラッグが出ない展開となり、ポールスタートのハービックが独走。2番手のカイル・ブッシュに1.284秒差をつけてステージ優勝を飾る。

 続くステージ2もクラッシュなどは起きない展開に。各車ともグリーンフラッグ下でピット作業を行っていった。

 このステージ2では、カイル・ブッシュとロガーノがトップ争いを繰り広げたものの、カイル・ブッシュは129周目のピットイン時に速度違反がありペナルティ。一時は周回遅れになってしまう。

 結局、このステージ2も大きな混乱はなく、ロガーノが逃げ切りステージ制覇。2位にハービック、3位にマーティン・トゥルーエクスJr.(トヨタ・カムリ)が続いた。

 周回遅れになったカイル・ブッシュは全車がピットを終えた時点でトップと同一周回に復帰。18位でステージ2を終えている。

カイル・ブッシュ(トヨタ・カムリ)

 迎えた最終ステージ3は、そのカイル・ブッシュがペースアップ。スタートから5周でトップ10圏内に駒を進めると、200周目を過ぎた頃にはトップ5圏内へ食い込んでみせる。

 全車が最後のピット作業を終えた段階で、トップはロガーノ、2番手ブラッド・ケゼロウスキー(フォード・マスタング)、3番手ハービック、4番手カイル・ブッシュというオーダーに。

 猛追をみせたカイル・ブッシュはレース残り5周で前を走るハービックを交わして3番手に。しかし、前を走る2台には届かずチェッカーとなり、スウィープ達成はならなかった。

 ロガーノとケゼロウスキーのフォード同士による優勝争いは、チェッカーまで残り6周の時点で0.7秒前後までギャップが縮まると、ファイナルラップにはほぼテール・トゥ・ノーズの状態に突入する。

 追いかける展開のケゼロウスキーはターン3の飛び込みで、一番内側のラインへ飛び込みオーバーテイクを仕掛けるが、車速でわずかに勝ったロガーノがターン4立ち上がりで鼻先をブロック。そのまま逃げ切り、2019年シーズン初優勝を奪った。

ジョーイ・ロガーノはラスベガス戦制覇。通算22回目の優勝を飾った
ジョーイ・ロガーノ(フォード・マスタング)

「レース前、優勝してインフィールドにあるロゴの上でドーナツターンを披露すると宣言していたけど、そのとおりになったね」とロガーノ。

「ブラッド(ケゼロウスキー)とは互角の戦いだった。引き離すことができなかったよ。特に最後の5~6周は、ブラッドのペースが良かったし、僕は周回遅れのマシンに引っかかったりしたからね」

「本当に僅差の戦いだった。バトルを楽しめたけど、まだ心拍数が高い状態さ」

 3位に終わったカイル・ブッシュは「ピットロードでの速度違反ペナルティを受けていなければ勝てていた。カムリは本当に速いクルマだった。ただ、今回は自分のミスが響いたよ」と悔しさをにじませた。

エクスフィニティの第3戦を制したカイル・ブッシュ(トヨタ・スープラ)
カイル・ブッシュがドライブした51号車トヨタ・タンドラ

 上述したように、カイル・ブッシュはエクスフィニティ、アウトドアズ・トラックでは優勝しており、トヨタ・スープラは2連勝、トヨタ・タンドラは開幕から3連勝を達成している。

 2019年のモンスターエナジーNASCARカップ第4戦は3月10日、アリゾナ州エイボンデールのISMレースウェイで行われる。

© 株式会社三栄