篠丸のどか 『うどんの国の金色毛鞠』12巻 - 読み手の心も癒してくれる物語

読み手の心も癒してくれる物語

香川県を舞台に描かれた少し不思議な物語が完結。父の死をきっかけに東京から実家に戻った宗太のもとにやってきた、狸の少年ポコ。多くを語らずただ傍にいるポコがなぜ人間に化けて表れたのか、この作品最大の謎がついに語られます。人生の岐路に立ち決断していく宗太。ともに成長していく二人、このままずっと過ごしていくかと思った二人の関係にも変化が。現在を舞台にした新作ですが、どこか懐かしい物語・風景も作品の魅力。著者が出身ということもあり、香川の街並みや自然も情景豊かに描かれています。読み手の心も癒してくれる物語が終わってしまうのは寂しいですが、二人が過ごした日々をまた改めて読み返したいなと思います。巻数も全12巻と一気に読み返すことができるので、この完結を期にこの物語に触れてみてください。(LOFT/PLUS ONE:柏木聡)

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