カルテ入力にAI活用、負担軽減へ 横須賀共済病院

患者との会話を示した声紋と文字に変換した画面を見る医療スタッフら=横須賀共済病院

 医療現場での過重労働が問題となる中、横須賀共済病院(神奈川県横須賀市米が浜通、742床)が人工知能(AI)を活用した働き方改革に取り組んでいる。患者との診療時の会話をAIの音声認識技術を用いて電子カルテに自動で入力、記録業務の省略化を目指す。医師や看護師が患者と向き合える時間を増やし、医療の質を高めたい考えだ。

 病院は昨年4月から、AI開発専門会社「9DW」(東京都港区)と協力し、外科病棟で試験的にAI活用を始めた。医師や看護師が耳掛けのインカム(無線機)を装着し、患者との会話を録音。その音声データを専用サーバーに入れ、AIの音声認識技術で文字・文章に変換する。

 看護師が変換ミスを手作業で直す必要はまだあるが、音声だけで電子カルテに自動入力されることを最終目標に据える。今年3月からは数台のインカムを60台に拡充。現場で使われる膨大な専門用語や省略語をAIに学習させながら、変換精度を高めていく。

 電子カルテの入力は、現状では看護師らがノートパソコンを持ち回り、患者から聞き取った内容を打ち込んでいる。千葉由美看護部次長は「多くはその場で入力できず、メモを書いておき、業務時間外に入力している」と説明。また回診時も看護師が医師の指示を入力しているといい、「医師の音声だけでカルテに文字化されれば、タイムリーに治療に反映できる」と取り組みに期待する。

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