春秋制のJリーグやMLS、そして韓国のKリーグでも2019年シーズンが開幕を迎えた。
そうした中、『Asia Times』では「韓国サッカーはファンを惹きつけるのに苦闘している」と伝えている。韓国代表は東アジアで最強ながら、国内のKリーグはファンを減らしているという。
その内容をざっくりと要約してみる。
爆買いの中国スーパーリーグにはブラジル人のスターがおり、DAZNとの破格契約を結んだJリーグはアンドレス・イニエスタやルーカス・ポドルスキなど欧州のレジェンドを引き入れてきた。
だが、韓国は違う。欧州に行けない国内のトップタレントたちが国内に留まることよりも隣国(Jリーグなど)に向かっている。
これは注目すべき事柄だ。韓国はアジアで最も成功しているサッカー国だ。だが、Kリーグは(ファンとの?)関係維持に苦闘している。
観客数は問題の大きさを示している。10年前は(平均で?)11,000人以上のファンたちがKリーグの試合を見に来ていた。だが、昨季は5,000人がやっと。年々減少しており、最低値になってしまった。
Kリーグの絶頂期は2002年日韓W杯の余波があった頃かもしれない。W杯の熱はリーグにも波及し、大きなスタジアムもいっぱいになった。
そのような勢いのあった日々は、全国的に韓国サッカーが韓国野球より明らかに上にいた数少ない時代のひとつだった。
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もはやそうではない。
テレビやメディアの巨大なプロモーションによって、野球がトップの座を奪い返したのだ。
「韓国MBC」のコメンテイター、ソウ・ヒョウウク氏はこう述べている。
「よかったワールドカップなど大きな出来事の後のいくつかの期間を除き、Kリーグが韓国のスポーツマーケットでトップだったことはない。
栄えているのは、国際的なサッカーだけだ」
長年、サッカー関係者たちは代表チームへの(ファンたちの)愛情を(Kリーグの?)試合に変えようとしてきた。だが、今のところそれは失敗している。
また、Kリーグではサムソンやヒュンダイなど国内最大級のコングロマリットが国内最大級のクラブを所有して財政的にも安定させてきた。
だが、こうしたモデルは日本がやっているような地元コミュニティとの密接な関係を築く必要性を減らしてしまった。
ショックな移転があったのだ。LGやSKコミュニケーションズはクラブを移動。それ以降、大きな移転はないが、ダメージはあった。このエピソードは地元ファンが重要ではないことを実証したのだ。
仁川ユナイテッドや城南FCのように自治体自体が保有し、資金提供しているクラブもある。論理的にはコミュニティとのかかわりに繋がるはずだが、意味のある方法でそれが起きたようには見えない。
より多くのファンをスタジアムに惹きつけるための問題は残ったままだ。
ソウ・ヒョウウク氏(韓国MBC)
「誰にも解決策が分からない。
どうやってKリーグがこの問題を解決するのかという問いに答えられる者は誰もいない。
我々はKリーグを助けうる様々な方法を試した。だが、また答えは出ていない」
2011年に起きた大規模な八百長スキャンダルは大問題でもあったが、チャンスでもあった。
リーグはコンペティションの再構築のために奔走。昇降格が整備され、クラブには運営、マーケティング、全般的な活動においてよりプロフェッショナルになることが求められた。実際、観客者数が減った一因はクラブが実数発表をするようになったためだ。だが、根本的な問題は残っている。
また、あるファンは韓国人監督たちのプレースタイルが似ていることを指摘している。
「ほとんどが同じパターンに倣い、慎重だ。
カウンターで、速く走ることとフィジカル面をより注力している」
「もっと多様性が必要だ。野球ファンはKリーグが退屈だと言う。
もしライトなサッカーファンなら、そう感じるかもしれない」
ファン不足は人々の興味を惹きつけることを難しくするだけでなく、放送局の試合放送にも影響する。
日本のような年間2億ドルの契約はない。Kリーグが得ている放映料は年間600万ドル(6.7億円)ほど。
だが、問題がありながらも、韓国のKリーグチームは強いままだ。2018年はリーグ6位だった水原三星ブルーウィングスがACLでベスト4に進出し、後に王者になる鹿島アントラーズに惜しくも敗れた。
問題を特定することは大きな一歩になる。より多くの金、より多くの投資、より小さなスタジアム(観客数に比べてキャパシティが大きすぎる)は助けになるだろう。
だが、継続的な成功への唯一の方法は、ファンを惹きつけることだ。
とはいえ、消費者の要求が厳しい韓国では、レジャーには様々な選択肢があり、注目される時間は限られている。そのなかで人々を試合に惹きつけるのは簡単ではない。
ソウ・ヒョウウク氏(韓国MBC)
「クラブはトライしている。彼らは観客数が最大の問題であることを分かっている。
他より優れたクラブもあるが、やらなければいけないのはコミュニティに本気で関わり、彼らをクラブに関わらせる手助けをすることだ。
時間、ハードワーク、情熱が必要になる。だが、長期的にはそれが唯一の方法だ」