屋上に700人収容の避難施設 藤沢に初の分譲住宅

フェンスが設置されたマンション「ブリリア湘南辻堂海浜公園」屋上の津波避難施設=藤沢市辻堂西海岸

 藤沢市の津波避難施設整備補助金を活用した初めての民間分譲マンションが同市辻堂西海岸に完成した。周辺に高層の建物は少なく、付近住民や海水浴客にとって安全・安心のよりどころとなりそうだ。近隣住民や報道関係者向けの見学会が6日に行われた。15日から入居が始まる。

 マンションは東京建物(東京都)とタカラレーベン(同)が事業主の「ブリリア湘南辻堂海浜公園」。鉄筋5階建ての延べ床面積約1万6千平方メートル、総戸数は186戸。辻堂海岸から北に約500メートルの場所に立つ。

 高さ約20メートルの屋上部分には、入居者と近隣住民合わせて約700人が収容できる津波避難施設(広さ計約400平方メートル)を整備。近隣住民は、マンション裏側の立体駐車場脇から階段を上って避難する。

 同市の津波避難施設整備に対する補助制度は、県の津波浸水想定区域やその周辺の建築物などを対象に、地域住民の避難場所に相当する分の工事費用を補助している。2013年に設けられ、これまで幼稚園や水族館など6施設に補助したが、分譲マンションは今回が初めて。近隣住民は約400人の受け入れが可能で、230万円が補助される見込みという。

 知人と一緒に屋上の避難施設を見学していた30代の女性は「近くの幼稚園に子どもが通っていて、こういう施設があると万が一に備えて安心できる」と歓迎。東京建物の担当者は「地域の防災に少しでも役立てれば」と話していた。

 県の被害想定によると、関東大震災と同様の地震が発生した場合、藤沢市では最大で高さ6.5メートルの津波が9分で到達する。避難施設の確保が課題になっており、同市は現在、135施設を津波避難ビルに指定している。

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