ハッブル、間もなく29周年も目立つ不具合。今度は「ACS」が故障

NASAは3月2日、ハッブル宇宙望遠鏡に搭載されている掃天観測用高性能カメラACS(Advanced Camera for Surveys)」に不具合が生じたことを報告しています。

その内容は、定期的に行っている起動動作を2月28日に試みたところ、エラーを検出。カメラ内のソフトウェアが正常にロードできなかったとエラー内容が示したといいます。詳細な不具合内容は不明。現在は対策チームが発足され、原因を究明した後に復旧作業に入ります。また、広視野カメラ3「WFC3」・宇宙起源分光器「COS」・宇宙望遠鏡画像分光器「STIS」などに問題は生じておらず、直近の科学観測ミッションで「ACS」を用いた重要な観測計画はなかったため、大幅な計画変更はないようです。

2002年のハッブル宇宙望遠鏡補修ミッション「STS-109」において搭載された「ACS」ですが、電気系統異常による複数回の不具合の末、2007年以降は高解像度チャンネル「HRC(High-Resolution Channel)」の機能を停止したまま運用されていました。

2009年に実施された最終補修ミッション「STS-125」では、ハッブル本体の補修の他、「ACS」の修理、広視野カメラ3「WFC3」の取り付けが実施されています。(「ACS」の修理後初の撮影はこぐま座の棒渦巻銀河「NGC 6217」)

「WFC3」は、紫外線・赤外線撮影において非常に高い性能を持った最新鋭のカメラですが、一定条件による可視光撮影の場合「ACS」の様な性能を発揮することができないため、「WFC3」と「ACS」は補完的な関係であると言えます。

また、2019年は「STS-125」から約10年が経過し、ハッブル宇宙望遠鏡は4月に稼働から29年を迎えます。当初は15年計画のハッブルも、気付けば延長を重ね2021年まで運用されることが決定しています。しかし、2018年10月にはジャイロスコープの不具合、2019年1月には「WFC3」のトラブル、そして2月には「ACS」に問題が発生するなど、ハッブル宇宙望遠鏡の限界を感じさせるニュースが多く飛び込んでくるようになりました。

Image Credit:NASA
■Advanced Camera for Surveys Anomaly on Hubble Space Telescope
https://www.nasa.gov/feature/goddard/2019/advanced-camera-for-surveys-anomaly-on-hubble-space-telescope

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