南島原と天草 合同ガイド研修 周遊ツアー案 ルート開拓など議論 潜伏キリシタン観光で連携

 世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」(長崎、熊本の12資産)の構成資産を持ち、有明海を隔てて隣り合う南島原市と熊本県天草市の両観光ガイド団体が5日、同市内で合同研修に参加。周遊ツアー案をグループワークで考え発表し合うなどした。長崎県島原振興局主催。県境をまたいだ行政主催の広域連携は全国でも珍しいという。
 島原・天草一揆の舞台「原城跡」や「天草の崎津集落」がある両市は2017年夏、観光促進の連携協定を締結。相互PRや特産品コラボメニュー作りなどを進める。観光客受け入れ面で重要な役割を担うガイド間でも連携を強めてもらおうと、合同研修を同振興局が初めて実施した。
 複数県にまたがる世界遺産は白神山地(青森、秋田)など国内に7件あるが、05年2月設立のNPO法人世界遺産アカデミー(東京)の本田陽子研究員は「縦割り行政が多い中、自治体が音頭を取った広域連携は聞いたことがない」と話す。
 この日は「南島原ガイドの会 有馬の郷」「天草宝島案内人の会」、観光協会の計約30人が参加。4班で模造紙の地図に経路をマーカーで書き込んだり、アイデアを書いた付せんを貼ったりしながら、「都会の富裕層をターゲットに、福岡から誘客できないか」「(一揆に向け天草四郎らが話し合った通称・談合島の)湯島もルートに盛り込もう」と活発に議論した。
 ほかに、「両市間で一揆軍の犠牲者数などにずれがある。統一ガイドブックを作ってはどうか」「お客さんに想像を膨らませてもらうために図や絵も多用している」と課題やノウハウも共有し合った。研修後、天草側の案内で南島原側は崎津集落を視察。懇親会もあり、親睦を深めた。
 島原振興局や熊本県によると、両市で合同研修を開き、活動を軌道に乗せていきたい方針という。

地図に付せんを貼って周遊ツアー案を協議する両県の観光ガイドら=熊本県天草市、富津地区コミュニティセンター

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