認知症カフェに50人 地域全体で見守る社会に 五島

 長崎県五島市は、認知症への理解を深め、当事者や家族を地域で支えるための認知症カフェ「よらんかな」を市内で開いた。今後、民間企業や住民グループに開設してもらうことを目指したモデル事業。「カフェを通して近所の人と関係を築き、普段から見守りの目が届く社会にしよう」と参加者に呼び掛けた。
 市地域おこし協力隊員の田代元輝さん(37)ら市長寿介護課が企画。当事者だけでなく誰でも参加でき、認知症に関心がある人や高齢者福祉施設の職員など約50人が参加した。
 認知症カフェでは、当事者や家族が悩みを吐露したり、介護福祉士などの専門家がアドバイスしたりする。カフェが開かれた1日は6グループに分かれ、お茶やコーヒーを飲みながら雑談。合間に田代さんが、カフェを設置した目的や認知症の人との接し方などを伝え、「誰が認知症になっても地域で支えれば、十分生活できる。地域に見守りが必要な人がいないか考える機会にしてほしい」と呼び掛けた。
 参加した同市野々切町の広瀬逸子さん(80)は「集まって話せるのが一番うれしいと言う近所の人も多いので、そんな場がもっとできれば」、同市中央町の丸田愛子さん(88)は「家族には話しにくいことも、同じ世代の近所の人なら言えることもある。また参加したい」と話した。

お茶やコーヒーを飲みながら認知症への理解を深めた参加者ら=五島市三尾野1丁目、市福江総合福祉保健センター

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