コメディからサイコスリラーへ スマホ題材のイタリア映画『おとなの事情』

By TOYO Press編集部

 平成30年度の総務省の情報通信白書によるとスマートフォンの世帯保有数は75.1%であるらしい。言わずと知れた話であるがスマホには電話番号やカード情報、写真など様々な個人情報が記録されている。そんな個人情報満載なスマホを巡って、大人たちが翻弄される映画を紹介したい。

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『おとなの事情』2016イタリア

【キャスト情報】

 筆者はこの映画がイタリア映画初鑑賞だったのでキャストは見たことない役者ばかりであった。唯一知っていたのはエヴァ役を演じるカシア・スムトゥニアクだった。

 カシア・スムトゥニアクはポーランド出身の主にイタリアを拠点に活動している女優だ。世界規模で公開された映画としては2010年公開の『パリより愛をこめて』でジョナサン・リース=マイヤーズの恋人役を演じている。また2002年にはイタリアの大手携帯会社TIMのCMにセリエAローマのガブリエル・バティストゥータと共に出演している。
筆者は『パリより愛をこめて』を鑑賞した際に強く印象に残った。

【あらすじ】

_  ある夜、幼なじみたちがそのパートナーを連れて、食事会の席に集まった。新婚カップルのコジモとビアンカ、倦怠期の夫婦レレとカルロッタ、思春期の娘との確執を抱えているエヴァとそんな妻と娘の間に板挟みに合って悩むロッコ、そして最近“彼女ができた”が、ひとりでやってきたバツイチのペッペ。秘密なんてない、と豪語する気心の知れた7人は、ちょっとしたことがきっかけである携帯を使った“信頼度確認”ゲームを始める。ルールは、それぞれのスマートフォンをテーブルの上に置き、メールが届いたら、みんなの前で開いて読み上げること。電話が鳴ったら、スピーカーフォンに切り替えて、みんなの前で話すこと。 
 やがて、電話が鳴り、メールが届き始める。ひとつコールが鳴る度に、暴かれていくそれぞれの秘密。妻に内緒で心理カウンセリングに通っていること、豊胸手術を受ける予定があること、浮気、そして性癖まで。たわいない遊びが、長年培ってきた友情と絆に波紋を投げかける……。 
 スマホに隠された“極秘の事実”が明らかになった時、夫婦、親友の信頼関係はどうなってしまうのか?

【感想】

 ジャンルとしてはコメディなのでその心持ちで見始めると、序盤は確かに小粋な会話劇が続いていきコメディの要素もあり軽い感じの映画かなと思って見てしまう。また会話を通して7人の関係性や背景なども丁寧に説明していくので登場人物の多さに困惑することもない。しかし、中盤に”ゲーム”が始まるととにかく殺伐とし始め一気にホラーというべきかサイコスリラーな展開になっていく、序盤の楽しさがあるだけにこの中盤の展開の緊張感が増している。終盤はネタバレになるので細かくは言及しないが感心するような展開が待っている。 鑑賞後には秘密を知る事への恐怖心と秘密の上に人間関係が成り立っていることをひしひしと感じさせられるのでおススメだ。

 本作の複数キャストが出演した、同じパオロ・ジェノベーゼ監督の新作映画『ザ・プレイス 運命の交差点』が4月5日に公開される。

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