スバル レガシィアウトバック実燃費レポート | モデルチェンジ間近!? 現行型の燃費をチェック!

スバル レガシィアウトバック実燃費レポート 高速道路での燃費テストの様子

スバルを代表するクロスオーバー! 気になる燃費性能は?

今回の燃費テストでは、スバル レガシィアウトバックの実燃費を計測した。

2019年2月に行われたシカゴモーターショーでは、スバル レガシィ(セダンタイプ)の次期モデルが発表された。このことから、レガシィアウトバックも「フルモデルチェンジもそう遠くない」と思われる時期に突入したといえる。現行モデルの実燃費を改めて見ていこう。

スバル レガシィアウトバック実燃費レポート 目次

燃費テスト概要

起用グレード

スバル レガシィアウトバック X-BREAK(エックスブレイク)

スバル レガシィアウトバックで現在設定されているパワートレーンは、2.5リッターNA+CVTの4WDのみ。その上で今回は、全3グレードが設定される中から、2018年9月にスバルブランド誕生60周年を記念した特別仕様車として加わったX-BREAK(車両本体価格340万2000円、JC08モード燃費14.8km/L)を起用した。

クルマ好きだと気になるアプライド(スバル車の型式において、改良ごとにA→B→C……と変化する記号)にはE型となる。

スバル レガシィアウトバック X-BREAK(エックスブレイク)

X-BREAKはルーフレールや撥水ファブリック&合皮のシートを装備するなど、アウトドアなどでの使用に適した仕様でありながら、価格はリーズナブルでコストパフォーマンスは高いことが特長のモデルだ。

なおテスト車はスタッドレスタイヤを履いていたことから、燃費はあくまで参考値である。また、試乗時のフィーリングも標準装着のタイヤとは若干異なる面がある点を、最初にお断りしておく(スタッドレスタイヤの銘柄は、SUV用となるブリヂストンの「ブリザックDM-V2」)。

テスト詳細と結果

テストは2月1日(金)の正午頃開始し、市街地編の道のりで開催されていたジャパンキャンピングカーショー2019に立ち寄り、午後7時半頃帰京するというスケジュールで実施した。

テスト途中の天候は、アクアラインの橋の風速が13mという強風が吹いていたものの晴天で、最高気温は8度。交通状況は平均的な流れであった。乗車人数はドライバー1人(体重約70kg)で行った。

レガシィアウトバック燃費テストの結果は以下のとおり。

レガシィアウトバックは、2.5リッターエンジンを搭載する4WDのクロスオーバーとしては及第点以上の燃費を記録した。過去データから、同じくレガシィアウトバックの弟分となるスバル XVの燃費データも記載するが、天候や交通状況といったコンディションの違いもあるにせよ、2台の燃費がさほど変わらなかったのは意外だった。

ここからは、いつもお送りしている実燃費レポートを市街地編、郊外路編、高速道路編と順に紹介していく。更に今回は、テスト翌日に開催されたイベント「ゲレンデタクシー」への取材に向かう際、筆者がこのレガシィアウトバックで向かったことから、その道のりでも燃費テストを実施。スキードライブに近い使い方も試しているので、購入を考えている方にはぜひ参考にしてほしい。

スバル レガシィアウトバック 車種概要

スバル アウトバック 静止イメージ
スバル アウトバック 静止イメージ

振り返ると、レガシィアウトバックはステーションワゴンに高い最低地上高や悪路走破性といったSUVの要素を盛り込んだ「クロスオーバー」タイプの先駆車であった。

アウトバックの歴史が始まったのはレガシィが2代目モデルだった時代。1994年に北米で先行投入され、翌1995年に日本にも2.5リッターエンジンを搭載するレガシィグランドワゴンの車名で導入された。

スバル アウトバック

その後1998年の3代目レガシィでは後に3リッターの水平対向6気筒も加わったレガシィランカスターに車名を変え、2003年の4代目レガシィからは現在の車名になり、2009年の5代目レガシィを経て、6代目モデルとなる2014年登場の現行モデルに至る。

レガシィアウトバックのようなステーションワゴンとSUVのクロスオーバーは、日本車ではスバル車以外あまり浮かばないものの、輸入車ではボルボV60クロスカントリー、ベンツEクラスステーションワゴンのオールテレイン、アウディのオールロードなどが存在していることから、このモデルはこれらが登場するきっかけとなったモデルでもある。

現行型レガシィは北米を主な市場に見据えられたことから、ボディサイズが大幅に拡大された。日本向けに扱いやすいボディサイズのレヴォーグとWRX S4が加わったこともあり、レガシィ全体のラインナップとしてはレガシィツーリングワゴンがラインナップ落ちし、ワゴン的な使い方も兼ねることができるレガシィアウトバックを主力に、セダンのレガシィB4も設定されている状況だ。

スバル アウトバック

現行型レガシィアウトバックは、クルマの土台となるプラットホームに先代モデルから引き継がれた「SIシャーシ」を使うなど、現在のスバルとしては古い世代に属している(だからこそ、冒頭に書いたように次期モデルが公開されるのだが)。

エンジン、トランスミッションといったパワートレーンは、レガシィアウトバックとレガシィB4で共通となっている。エンジンはアイドリングストップ機能付きの水平対向2.5リッター4気筒自然吸気エンジン(最高出力175馬力&最大トルク24.0kgm)、トランスミッションはCVTという設定だ。

駆動方式も両車同様で、「アクティブトルクスプリットAWD」と呼ばれる前60:後40を基本に状況に応じて前後トルク配分が可変するタイプのみとなるが、アウトバックには深い雪道などでよりトラクション(駆動力)を高める「X-MODE」や、滑りやすい急な下り坂でクルマがユックリとした一定速を保ってくれる「ヒルディセンドコントロール」というSUVらしさを高めるシステムも装備される。最低地上高に関してもレガシィアウトバックは200mmというクリアランスを設けており、SUVの平均値よりも高いレベルが確保されている。

カタログに載るJC08モード燃費はアウトバック、B4ともに14.8km/L。エコカー減税の対象にはならないものの、燃費向上の技術として「アクティブグリルシャッター」が装備されている。これは、空気抵抗の低減を狙いつつ、冷却水温を適切に保つために、状況に応じてラジエーターグリルを開閉する装備だ。

スバル アウトバック

最近ではクルマを選ぶ際の重要なチェックポイントになっている運転支援システムについても見ていこう。レガシィアウトバックでは、スバルの基幹技術の1つとなっている「アイサイトver.3」が全グレードに標準装備となる。

このシステムは、ルームミラー左右に付くステレオカメラからの情報を基盤に、緊急ブレーキ機能や停止まで対応する先行車追従型のアダプティブクルーズコントロール、車線の中央を維持しようとするアクティブレーンキープ、コンビニなどに正面から突っ込む事故を防ぐAT誤発進抑制制御、バックの際の事故を防ぐAT誤後退抑制制御、後退時自動ブレーキシステムといった多彩な機能を持つ。

レガシィアウトバックのアイサイトver.3は、国が行うJNCAPのテストで対停止車両には50km/h、単純な大人の飛び出しには55km/h、単純な子供の飛び出しには40km/h、駐車車両などの陰からの大人の飛び出しには30km/hからの停止が確認されている。モデル末期ながらトップクラスの性能を備えているといえるだろう。

レガシィアウトバックのグレード体系は、ベーシックな標準と、18インチホイールやパワーバックドアなどが加わるリミテッド、そしてテストに使った特別仕様車のX-BREAKの3つとなる。

スバル レガシィアウトバック実燃費レポート 市街地での燃費テストの様子

スバル レガシィアウトバック実燃費レポート | 市街地編

■スバル レガシィアウトバック 市街地での実燃費 10.8km/L

レガシィアウトバックは市街地で10.8km/Lという、2.5リッターエンジンを搭載するラージサイズのクロスオーバーと考えれば及第点以上の燃費を記録した。

市街地編では、ドライバビリティ(運転のしやすさ)や、アイドリングストップ、アイサイトver.3(以下、アイサイト)に含まれる停止まで対応する先行車追従型のアダプティブクルーズコントロールの印象を中心に報告する。

まずドライバビリティは、アクセルペダルの操作に対する出力制御を行うスロットルバルブの開き方がやや大きいのと、2.5リッターという排気量の割には発進加速時のエンジン回転がやや高めに感じられたのが印象的だ。「そんなに回さなくても十分加速できるのに」と感じることもあるものの、全体的には運転しやすく良好だ。なおCVTはアクセル操作に対し一定のエンジン回転数で加速するだけでなく、有段ATのようなステップシフトをしながら加速することもある。

スバル レガシィアウトバック実燃費レポート 市街地での燃費テストの様子

アイドリングストップは停止後ブレーキペダルを踏み増すとアイドリングストップが開始するというタイプ。一時停止や止まりそうな渋滞中でも不必要なアイドリングストップが起きにくいという意味では好ましく感じられる。アイドリングストップ自体はエンジン再始動の際のセルモーターの音が少し耳に付くが、再始動は素早い。

アイドリングストップの頻度は、基本的には多めだった。一時停止時、基本的にはエンジンも停止し、アイドリングストップする時間も長め。アイドリングストップが一旦始まれば、意図しないタイミングでエンジンが再始動することはほとんどなかった。だが、市街地を走ったのが気温5度前後の夜間ということもあり、エアコンとヘッドライトによるバッテリーの消費が多い場面では、まれにアイドリングストップしないこともあった。

アダプティブクルーズコントロールは、市街地のような状況でも加減速がスムース。ドライビングサポートとして十分に使える性能を備えており、市街地での車間距離は2段目を使うのがちょうどよく感じた。なお、アイサイトを使っていると電動パーキングブレーキが用いられていることもあり、停止後はフットブレーキが保持され、疲労軽減につながっている。このタイミングで、アイドリングストップも開始する制御のようだ。アイサイトを使っていなくても停止後のブレーキホールド機能は継続される。

またアウトバックで市街地を走っていると、最低地上高を上げたことによりアイポイントが高くなっているおかげでSUVに近い見晴らしの良さが得られた。このため混んだ市街地でも周囲が先まで見え、運転が非常に楽に感じられる。この点はアウトバックの美点の1つといえる。

スバル レガシィアウトバック実燃費レポート | 郊外路編

スバル レガシィアウトバック実燃費レポート 郊外路での燃費テストの様子

■スバル レガシィアウトバック 郊外路での実燃費 12.8km/L

レガシィアウトバックは郊外路で12.8km/Lという燃費を記録した。この燃費も市街地と同様に2.5リッター自然吸気エンジンを搭載するラージサイズのクロスオーバーと考えれば及第点以上といえるだろう。

郊外路編ではハンドリングと乗り心地の印象をお伝えする。

ハンドリングは全体的にごく普通といったところだが、レガシィアウトバックが200mmというSUV並みの最低地上高を持つ車種と考えれば、特にロールが大きいなど気になるところもない。クロスオーバーでありながらほぼステーションワゴンとして乗れることには、モデルとしてのまとまりのよさを強く感じる。これは重心の低い水平対向エンジンを使う恩恵の1つだろう。

乗り心地はスタッドレスタイヤを履いている影響もあったのかもしれないが、時おり小さめの路面の凹凸でブルッとした硬さを感じたのが少し惜しい。しかし、全体的には大きな不満はなく良レベルといったところだ。乗り心地に関してはテストに使ったX-BREAKや上級グレードが18インチタイヤを履くのに対し、標準グレードは17インチタイヤを履くため、標準グレードだと良化する可能性はあるかもしれない。しかしX-BREAKの追加される装備に対する割安感を見ると、標準グレードが選びにくいのも事実ではあるが。

スバル レガシィアウトバック実燃費レポート 高速道路での燃費テストの様子

スバル レガシィアウトバック実燃費レポート | 高速道路編

■スバル レガシィアウトバック 高速道路での実燃費 17.1km/L

レガシィアウトバックは高速道路でも17.1km/Lと、ジャンルを考えると良好な燃費を記録した。このような燃費を記録した要因は2.5リッターという排気量を生かし、高速道路だとエンジンをユルユルと楽に使いながら巡航できる点にありそうだ。

高速道路編では、アウトバックの動力性能とアイサイトの印象をお伝えする。

スバル アウトバック エンジン

動力性能は、アクセルを深く踏んだ際に絶対的な速さを感じるということはないが、2.5リッター自然吸気エンジン相応といったところ。低回転域から太いトルクを出すこともあり、大陸的な大らかな性格のアウトバックにはよく似合っている。

また排気量2.5リッターで4気筒となっており、1気筒あたりの排気量は大きい。これがもし直列4気筒だったとしたら、高回転まで回した際は振動が気になることもあるだろう。だが、アウトバックは振動を打ち消し合う水平対向エンジン。これにより高回転まで回しても不快な振動、騒音はなく快適だ。

なお100km/h走行時のエンジン回転数は、SIドライブのIモードで1700回転と低く抑えられていた。

アイサイトを高速道路で使ってみると、加減速のスムーズさや車間距離の適切さが相変わらず素晴らしい。さらにアクティブレーンキープも直進、緩やかなコーナーともに積極的に作動しており、長距離ドライブの際などには強い味方になるに違いない。アイサイトに関して欲を言うなら、レガシィの車格を考えるとレクサスLSのようにステアリングにタッチセンサーが欲しいのも事実。もしこれが装着されると、一層アクティブレーンキープが有効に使えるようになるだろう。このあたりは次期モデルに期待したい。

またアウトバックはハンドルに付くSIドライブのスイッチで標準のI、S、S♯という3つの走行モードを選べ、Iを基準にするとS、S♯となるに従ってアクセル操作に対するレスポンスがシャープになり、CVTが高いエンジン回転を維持する制御になるという違いがある。普段乗る際は、Iでもまったく不満は感じられないだろう。

スバル レガシィアウトバック実燃費レポート まとめ

スバル レガシィアウトバック実燃費レポート 郊外路での燃費テストの様子

■スバル レガシィアウトバック 総合実燃費 13.0km/L

レガシィアウトバックは総合的な性能を考えれば納得できる燃費、アイサイトをはじめとした安全装備、悪路走破性を含めた走行性能など、実によくまとまっているクルマだった。また、日本車では唯一のラージクラスのクロスオーバーであり、それが300万円台で買えるというのも大きな強みといえる。

冒頭にも書いたように2月のシカゴモーターショーでベースとなるレガシィB4の次期型が発表されたこともあり、レガシィアウトバックもモデル末期なのは否めない(もしかすると4月のニューヨークモーターショーで次期レガシィアウトバックが発表されるのかもしれない)。しかしモデル末期のスバル車では「熟成された良さ」を感じるのも事実。現行モデルが好きならば、値引きなども含めた購入条件も加味して今買うのも悪くない選択だろう。

スバル レガシィアウトバック X-BREAK(エックスブレイク)

少し注文を付けるのであれば、現行インプレッサ以降の最近のスバル車に共通するちょっと地味な印象がちょっと惜しい。この点は2世代前の最終モデルで限定販売された2.5リッターターボのようなイメージリーダーがあればと感じるが、次期レガシィB4には2.4リッターターボが搭載されることが発表されている。このエンジンを搭載したレガシィアウトバックの登場にも期待したいところだ。

またレガシィアウトバックに乗ると「日本ではもう少しボディが小さいといいのに」と思う場面にも遭遇する。このことを踏まえるとXVとレガシィアウトバックの中間に位置するレヴォーグのクロスオーバーがあると、日本向けのラインナップ拡充につながるのではないだろうか。

さて、今回は燃費テスト終了後、冒頭に書いた通り長野県エコーバレースキー場で行われたゲレンデタクシーの取材に向かった。その際の実燃費も紹介しよう。

スバル レガシィアウトバック実燃費レポート スキードライブを想定した燃費テストの様子

番外編その1:都心から前泊地の長野県諏訪市まで(道のり:約200km)

この道のりでは、前泊地に急ぎたかったのと疲れていたのもあり、アイサイトのペースを常識的な範囲でやや早めにセットして走行。前方の監視と運転の構えをしていれば首都高からほぼペダル操作をすることなく、インターチェンジ下車までアイサイトに任せて走行することができた。十分なゆとりを持つ動力性能であったこともあり、疲れた体には非常に有難かった。

この区間の燃費は11.3km/L。ペースが早めだったことと中央高速下り線には上り坂が多いことを考えると、納得できる数値だった。

番外編その2:雪国の郊外路(道のり:約65km)

スバル レガシィアウトバック実燃費レポート ステアリングヒーターの操作部

続いては、前泊地→エコーバレースキー場→帰り道のインターチェンジまでを“スキードライブ郊外路編”としてまとめてお届けする。

マイナス7度という気温の中、朝7時に出発。出発時にフロントガラスやドアミラーの画面が凍っているということは幸いなかったが、そんなときでもフロントワイパーデアイサー(フロントガラスに組み込まれた熱線)とドアミラーのヒーターがあるので、素早く視界を確保してくれるに違いない。またヒーターが効くまでの間も、車内はリアシートにも付くシートヒーターとステアリングヒーターが体を暖めてくれるので快適だ。

スバル レガシィアウトバック X-BREAK(エックスブレイク)

スキー場が近づくと、圧雪路からアイスバーン、シャーベット状などいろいろな雪道が現れるが、高性能スタッドレスタイヤを履いたレガシィアウトバック、というよりスバルの4WD車であれば注意して運転していれば何事も起きることはない。筆者も安心&安全に守られながら無事スキー場に到着した。今回はそういった場面はなかったが、深い雪道に遭遇した際にはアウトバックの200mmという最低地上高もありがたく感じられるに違いない。

この区間の燃費は9.9km/L。取材前後の暖機運転を含むことも考えれば、これも納得できる数値だろう。

番外編その3:復路の高速道路(道のり:約140km)

帰りの高速道路は取材で疲れていたことと燃費を重視したかったことから、流れより若干遅いペースでアイサイトを使いながら走行。やはり往路と同様に疲れた体にアイサイトは非常にありがたかった。

復路の高速道路の燃費は往路とは対照的にペースが遅めで下り坂が多いこともあり、17.8km/Lと良好だった。

番外編での総合燃費

スバル レガシィアウトバック実燃費レポート スキードライブを想定した燃費テストの様子

取材のためスキー場往復で400kmほど走った総合燃費は12.5km/Lと、クロスオーバーというジャンルを考えれば相応以上の低燃費といえるだろう。なお燃費テスト、スキー場往復ではガソリン満タンから576km走行時点で初めて燃料残量警告灯が点いたことから、航続距離も十分に確保されていることも確認できた。総合的に見るとアウトバックはスキーなど長距離移動も伴うことが多いアウトドアのパートナーとして、最良の1台と断言できる。

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