【平成の長崎】「或る列車」試乗ルポ 大村湾眺め絶品スイーツ

平成27(2015)年

©株式会社長崎新聞社

 JR九州は2015年10月28日、長崎-佐世保間で11月1日から運行を始める「或る列車」の報道関係者向け試乗会を開いた。絶品スイーツや車窓からの眺望を楽しめる“幻の豪華列車”を一足先に体験した。
 優雅な姿をした車両がゆっくりとホームに入ってきた。28日朝、JR佐世保駅。前面下側にはトレードマークの唐草文様があしらわれ、側面には「SWEET TRAIN」のプレート。「豪華ホテルのよう」。ホームに居合わせた人たちの声が聞こえた。
 列車は2両編成(定員38人)。1号車は木のぬくもりと明るく上品な雰囲気が漂う。2号車には、濃い茶色が基調で格子細工の障子が取り付けられた個室がある。
 午前9時50分、佐世保駅を出発。車内ではクラシック音楽が流れ、窓の外では列車に気付いた住民が手を振る姿が見られた。しばらくして道上農園(東彼川棚町)のミカンや県産の新米を使った「立冬のカクテル」が運ばれてきた。さっぱりとした果汁と、ほどよい甘みが口の中に広がった。
 川棚駅を過ぎると、窓の外には大村湾の眺望が広がった。「海の光景は長崎コースならでは。午後の便での夕焼けが特におすすめ」。乗務員の畦地綾香さん(32)が説明した。
 スイーツは4品。県産キウイやサツマイモ、熊本産のクリなど、いずれも九州産の新鮮な食材を使用。パティシエの船橋光さん(26)は「旬のものだけを使い、素材を生かした味付けになっている。車窓の風景と合わせ、スイーツでも季節感を感じて」。長崎市のガラス工房「瑠璃庵」や東彼波佐見町の「一真窯」のガラス皿や角皿が使われていた。
 JR九州は現在、「ゆふいんの森」など計10本の観光列車を運行。乗車率は年間平均90%に上るものもあるほど好評という。「或る列車」の長崎コースは1人片道2万円から。旅行会社販売分には残りがあるが、JR九州分(74便)は既に完売。女性客が7割を占め、40~60代の申し込みが多いという。
 スイーツを味わっていると、いつの間にか2時間余の旅を終えた。「大村線の車窓の景色はどこにも負けず、スイーツには長崎産の果物も使っている。列車を通じて長崎の魅力を全国に発信したい」。終点の長崎駅で、同社営業課の萱嶋創副課長は力を込めた。
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 或る列車は、九州初の鉄道会社「九州鉄道」が1906年に米国のメーカーに発注した豪華列車がモデル。営業運転をせずに廃車になったとされ、模型を基に工業デザイナーの水戸岡鋭治氏が再現。スイーツは東京のレストラン「NARISAWA」のオーナーシェフ、成澤由浩氏が考案した。
(平成27年10月29日付長崎新聞より)
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【平成の長崎】は長崎県内の平成30年間を写真で振り返る特別企画です。

「或る列車」=川棚町小串郷
「或る列車」