「人手不足」関連倒産(2月)

 企業倒産が低水準で推移しているが、厚生労働省が3月1日に発表した1月の有効求人倍率は、前月と同水準の1.63倍だった。依然として高水準の求人増が続き、中小企業を中心に人手不足は深刻さを増している。こうした厳しい状況を背景に、2018年4月から2019年2月までの人手不足倒産は累計362件(前年同期比28.8%増、前年同期281件)に達し、3月を残して2015年度の345件超えて年度(4-3月)集計では過去最多を更新した。

2月の人手不足倒産は25件、「求人難」型が5件発生

 2019年2月の「人手不足」関連倒産は25件(前年同月比31.5%増、前年同月19件)で、2カ月ぶりに前年同月を上回った。
 内訳は、代表者や幹部役員の死亡、病気入院、引退などによる「後継者難」型が18件(前年同月16件)、人手確保が困難で事業継続に支障が生じた「求人難」型が5件(同1件)、中核社員の独立、転職などの退職から事業継続に支障が生じた「従業員退職」型が2件(同1件)だった。

人手不足関連倒産月次推移

産業別 サービス業他が最多

 産業別では、サービス業他5件(前年同月3件)と建設業5件(同4件)が最多だった。次いで、製造業(同3件)、小売業(同1件)、不動産業(同ゼロ)、運輸業(同2件)が各3件。情報通信業が2件(同2件)、卸売業1件(同4件)。

地区別 8地区で発生

 地区別では、全国9地区のうち、四国を除く8地区で発生した。関東8件(前年同月9件)を筆頭に、九州7件(同1件)、近畿3件(同3件)、中部(同2件)と東北(同1件)が各2件、中国(同1件)と北海道(同ゼロ)および北陸(同ゼロ)が各1件。都道府県別では、福岡4件(前年同月1件)、東京3件(同5件)の順だった。

年度集計、2月時点で過去最多を更新

 2018年4月から2019年2月までの累計件数は362件(前年同期比28.8%増)にのぼり、すでに2月で2015年度の345件を上回り、年度(4-3月)集計で最多記録を塗り替えた。

2019年1-2月の要因別、「求人難」型の急増ぶりが際立つ

 2019年1-2月の「人手不足」関連倒産は55件(前年同期比10.0%増、前年同期50件)で、前年同期を上回って推移している。
 内訳は、「後継者難」型が30件(前年同期比33.3%減、前年同期45件)、「求人難」型が17件(同750.0%増、同2件)、「従業員退職」型が4件(同300.0%増、同1件)、「人件費高騰」型が4件(同100.0%増、同2件)だった。「後継者難」型が過半数(構成比54.5%)を占め、また「求人難」型の急増ぶりも際立っている。

2019年1-2月、サービス業他が最多11件

 2019年1-2月の産業別では、サービス業他が前年同期同数の11件で最多だった。次いで、建設業9件(前年同期比18.1%減、前年同期11件)、運輸業9件(同200.0%増、同3件)、製造業8件(同14.2%増、同7件)、小売業7件(同75.0%増、同4件)と続く。
 2019年1-2月の地区別では、9地区のうち九州(4→13件)、近畿(6→8件)、北陸(ゼロ→1件)の3地区で前年同期を上回った。一方、減少は関東(22→20件)、東北(4→3件)、中国(3→1件)、四国(3→1件)の4地区で、同数が中部(7→7件)と北海道(1→1件)だった。

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