ロシア「女性の日」、最も有名な10人発表 ザギトワさんは何位?

By 太田清

1月23日、フィギュアスケート欧州選手権の女子SPで演技するアリーナ・ザギトワ選手=ミンスク(タス=共同)

 3月8日は「国際女性の日」。国際婦人デーとも呼ばれるこの日はニューヨークでの女性参政権を求めるデモを由来とするが、何よりこの日が有名となったのは1917年3月8日(旧暦の2月23日)に当時のロシア帝国首都ペトログラード(現在のサンクトペテルブルク)で、紡績工場の女性労働者らが第1次大戦反対や食料不足解消を求め大規模なデモを行ったこと。デモは兵士や農民らの大規模な蜂起を招き、皇帝ニコライ2世が退位、ロマノフ王朝を終焉させる二月革命につながった。 

 こうした歴史的経緯から、女性の日は主に、ソ連を中心とする社会主義陣営の国々で主に祝われることになり、ロシアでは現在も祝日。日本では比較的なじみの薄い記念日だが、ロシアでは多くの男性がこの日に花束を買い、冬期において、ただでさえ高価な花の価格がさらに高騰。プレゼントをしたり家事を手伝ったりするのが慣例となっている。 

 旧ソ連時代、社会主義の「男女同権」の美名の下、職場での労働を半ば強制される一方で家庭では家事や育児なども担わされる境遇に置かれた女性たちへの“贖罪”の意味もあったのではと、筆者は見ている。私も家内にプレゼントを贈り、ケーキや花束を買って帰宅する予定(忘れると後で大変なことになる)。一方で、女性への参政権付与や男女平等を本来の目的とした政治的意義は薄れ、結果的に現在のあり方は男女の性差を強調することになっているとの批判も聞かれる。 

 ところで、ロシア大衆紙コムソモリスカヤ・プラウダ(電子版)によると、大きな祝日であるこの日を前に、IT大手グーグルが自社の検索結果を分析、「最も有名なロシア人女性10人」を発表した。1位は人気テレビ司会者で歌手のオリガ・ブゾワさん。人気リアリティー番組「ド―ム2」に出演したことで有名となり、昨年は自らの夫候補を探すリアリティー番組に出演、大きな注目を集めた。 

 このほか、日本でも名前の知れた人物としては、3位に「百万本のバラ」など数々のヒット曲で知られる人気歌手アーラ・プガチョワさんが入った。2011年には30歳近く年の若い人気司会者マクシム・ガルキンさんと再婚、その後、代理出産で双子をもうけるなど話題となった。 

 6位は女性テレビ司会者のクセーニヤ・サプチャクさん。サンクトペテルブルク市長時代にプーチン大統領を第1副市長に起用し政界進出のきっかけをつくった故アナトリー・サプチャク氏の愛娘で、著名な父を持ちながら数々のトークショーやバラエティー番組に出演し「セレブ」ぶりを発揮、ロシアのパリス・ヒルトンとも称された。プーチン氏に対抗して、昨年のロシア大統領選に出馬したが1・68%しか得票できず惨敗した。 

 7位はロシア・バレエの名門ボリショイ劇場の看板バレリーナとして活躍したアナスタシア・ボロチコワさん。体重増加を理由に劇場を解雇通告され裁判闘争を展開したことで有名に。冬季五輪開催地ソチの市長選に立候補表明したことも。現在は女優、歌手、モデルとして活躍している。 

 9位には平昌冬季五輪女子フィギュア金メダリストのアリーナ・ザギトワさんが選ばれた。おそらく日本ではプロテニス選手のマリア・シャラポワさんと並び、最も有名なロシア人女性だろうが意外なことに9位にとどまった。もっとも他の9人は歌手や司会者、女優などすべて芸能関係者ばかりで現役のスポーツ選手は彼女一人だったことは評価すべきなのだろうか。一方で、政治家や企業経営者、文化関係者が一人も入らなかったことは寂しい気もするが。 (共同通信=太田清)

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