住宅ローン控除を申告した人が、医療費控除を忘れたくない理由

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年末調整や確定申告の時に、多くの人は「所得税」の減税のみを意識しています。所得税より高くなりがちな住民税の注意点を解説します

所得税よりも高くなりがちな住民税の節税も意識しよう

国税庁発表の民間給与実態統計調査(平成28年分)によると、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は422万円となっています。このぐらいの年収の多くの人は、所得税の最高税率と住民税率が同じ10%ということになりますが、所得控除額が住民税のほうが少なくなるため、住民税のほうが高く感じることが多いのです。

収入が多くない人ほど、住民税を節税するメリットは大きくなります。今回は、所得税だけではなく住民税の節税も意識しましょう、ということについて解説します。

住民税と所得税の違いとは、

・扶養控除額などの控除額が所得税よりも低い

・住宅ローン控除は、所得税から控除できなかった時に可能となる(限度額あり)

・少額配当も加算される

・申告課税方式の所得税と違い、賦課課税方式てある

・均等割がある

などです。

住民税を節税する上で、注意すべき点は?

「年末調整や確定申告などで、控除できる金額は、最高額まで全て申告する!」ということです。例えば、住宅ローン控除が適用される人の例で見ていきましょう。

例:住宅ローン控除が使える人の例

課税される所得金額が297万7000円(給与収入487万5000円、給与所得 約335万7000円、基礎控除38万円)

「住宅ローン控除を申告したから、医療費控除や生命保険料控除は面倒なので申告しなくていいや、どうせ、所得税はかからないから!」と考えてしまう人も多いようです。しかし、住宅ローンは所得税で満額控除されておらず、控除不足がある場合などを除き、住民税からは控除されません。

所得税はかからなくても、所得税と同じ税率の住民税が課税される可能性がありえます。例えば、課税される所得金額が297万7000円(給与収入487万5000円、給与所得 約335万7000円、基礎控除38万円)の場合、住宅ローン控除前の所得税額20万200円で、住宅ローン控除限度額が20万円だった場合、もちろん、所得税額は200円です。

この人の払う住民税は、基礎控除が33万円で、かつ、住宅ローン控除20万円がありませんので、課税される所得金額は302万7000円、住民税額は30万2600円となってしまいます。

この人が入院等をして医療費控除を50万円受けた場合、所得税額を減らす効果は200円しかありません。しかしながら、住民税は5万円が減額されて25万2600円となります。医療費控除に限らず、生命保険料控除や社会保険料控除など、控除できる金額は住民税まで意識して、最高額まで全て申告することが重要となります。

住民税も決して軽い税負担ではない

住宅ローン控除前の所得税額20万200円と住民税額30万2600円の差額10万2400円は、以下の違いによるものです。

① 所得税における税率の5%部分(課税される所得金額195万円までは5%)

⇒+9万7500円

②基礎控除額の差額5万円部分(所得税38万円、住民税33万円)

⇒+5000円

③ 住民税端数処理分

道府県民税:課税標準302万7000円 × 税率4% =12万1080円 百円未満切捨 △80円

市町村民税:課税標準302万7000円 × 税率6% =18万1620円 百円未満切捨 △20円

⇒△100円

この差引きの合計が10万2400円になっているのです。

住民税は、前年分の給与収入等をベースとして計算され、年末調整において還付される訳ではないため、意識していない人が非常に多いのですが、決して軽い税負担ではありません。いま一度、意識してみましょう。

(文:坂口 猛(マネーガイド))