焦り、ぼやき… 県議会 そわそわ 告示2週間前まで定例会

 今春の県議選(3月29日告示、4月7日投開票)まで1カ月を切った。県の新年度当初予算案などを審議する定例議会が閉会するのは告示2週間前の15日で、県議会にも落ち着かない雰囲気が漂っている。閉会まで1週間残るが、立候補を予定している現職からは「頭はもう選挙モードだ」「あいさつ回りの時間が取れない」「いつも選挙と議会の間隔は近い。議会(日程が)が前倒しになったらうれしいのに」などと焦りの声やぼやきが漏れる。
 今回の統一地方選は4月30日に天皇退位、5月1日に新天皇即位を控え、通常より1週間、日程が早い。県議選は4年前の前回、告示が4月3日で、県議会は16日前(3月18日)が閉会日だった。閉会日から県議選告示まで通常でも間がないが、今回はさらに短い格好だ。
 今定例会は2月20日に開会。一般質問を経て、今月5日に常任委員会に入った。委員会初日、ある県議は「3日間で終わりたい」と本音をぽつり。また、ある委員会では、休憩中に議員から「もう終わろう」と冗談めかした声が上がった。
 持ち時間が決まっている一般質問と違い、常任委員会の審査時間は流動的だ。その間は審査に拘束される。県都長崎市から地元まで車で1時間以上かかる県南地区の県議は「審査が夕方に終われば、地元に着くのはもう夜。会合に参加するくらいしかできない。地元を回れないと思うと気が気じゃない」と焦りを募らせる。ある県議は膨大な資料を前に「やはりこの時期の議会は負担が大きい」とつぶやいた。
 過去4年間の常任委員会の審査日数を調べると、年度末に当たる定例会では総務、文教厚生、環境生活、農水経済のいずれも審査に4日以上を要することが多かった。新年度当初予算案を扱うため議案が多く、議論も長引きやすい傾向にある。だが、今定例会は「今は頭の中の9割が選挙」(激戦が予想される選挙区の県議)といった声が聞こえる中、総務以外の3委員会は3日間で審査を終えた。
 告示まで間がない中、定例会に臨む県議らは、限られた時間を有効活用しようと頭を悩ませている。ある県議は委員会終了後、選挙区の長崎市内で開かれた支持団体の集会に向かった。手帳には予定がびっしり。「議会は重要。隙間の時間で行動するしかない」と話した。地元に戻ることが難しい離島の県議は「議会が選挙前にあるのを見越して、早くから地域を回っている」と対策を明かした。
 一方、こうした浮足立った様子に冷ややかな声も。ある県議は議会期間中のつじ立ちを封印し、委員会終了後も議員控室で資料を読み込んでいた。「7千億円の当初予算について議論できるのが本議会。たとえ選挙でいっぱいいっぱいでも、議論をおろそかにするのはよくない」

審査が終了し、議員が慌ただしくいなくなった委員会室=県議会棟

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