横須賀市内にある皇室ゆかりの地を学ぶ、観光ボランティアガイド向けの研修会がこのほど、開かれた。天皇陛下退位と新天皇即位を間近に控え、皇室への関心が高まると期待する横須賀集客促進実行委員会(市、横須賀商工会議所、京急電鉄)が企画。ガイド約20人が地元の歴史グループの案内で、明治天皇の宿泊施設跡地や訪問を記念した石碑などを巡った。
研修会では、郷土史を研究するグループ「横須賀の文化遺産を考える会」の長浜つぐお代表(76)が講師を務めた。
市によると、日本近代化の礎をなした横須賀製鉄所(造船所)を視察するため、明治天皇はたびたび市内に足を運んだ。
長浜代表は、横須賀訪問の際に明治天皇が宿泊した「向山行在所」の跡地(同市本町)近くにある「明治天皇御(ご)駐蹕(ちゅうひつ)碑」を案内。明治天皇が軍艦進水式や軍事演習を視察したこと、当時の市長らが1933(昭和8)年に設置した碑に東郷平八郎が揮毫(きごう)したことなどを説明した。
また太平洋戦争で命を落とした民間船員ら約6万人を奉安し、今年1月にも天皇、皇后両陛下が供花された「戦没船員の碑」のある県立観音崎公園、葉山御用邸に近い「子安の里」などもパネルで紹介した。
最後に参加者は、92(平成4)年に埋め立てが完成したことから命名された平成町のうみかぜ公園に移動し、住民を交えて新たな元号を予想。参加者らから「和光」「安久」など、平和で明るい未来を願うアイデアが出された。
長浜代表は「研修を生かし、皇室ゆかりの地の歴史を伝えてもらえれば」と期待。横須賀集客促進実行委員会事務局の市は「今後もこうした機会を設けたい」としている。