大当たり?横浜FMのFWエジガル・ジュニオについて知るべき5つのこと

10日に川崎フロンターレとの“神奈川ダービー”を控える横浜F・マリノス。

オーストラリア人のアンジェ・ポステコグルー監督が就任した昨年は、大きな変革によって浮き沈みのあるシーズンとなったが、2年目を迎えた今年は斬新な攻撃サッカーに磨きをかけ開幕2連勝を飾った。

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その原動力となっているのが2試合連続3ゴールを記録しているFWエジガル・ジュニオ。今季バイーアから加入した27歳のブラジル人FWは一体どんな選手なのだろうか?

発掘したのは日系人のクラブ

サッカー王国ブラジルにあって「サッカー不毛の地」とも考えられる首都ブラジリアに生まれたエジガル・ジュニオは、キャリアの面でやや苦労を経験した。

8~9歳の頃に本格的にサッカーを始めた彼であるが、2004年にサンパウロのテストに落ち、その後インテルナシオナウ、フルミネンセと名門のユースに所属したものの短期間で退団し地元へ帰郷することに。

そんな彼を拾ったのがパラナ州にあるPSTC。日系3世のマリオ伊良皆氏が1994年に創設したクラブで、フェルナンジーニョ(現マンチェスター・シティ)を育てたことで知られる。

彼らは同州のアトレチコ・パラナエンセと関係が深く、ジュニオもPSTCでの活躍を経て同クラブへ。2011年6月にプロデビューへとこぎ着けた(デビュー戦でゴールを記録している)。

ちょっと変わった名前の由来

登録名の「エジガル・ジュニオ」は、本名エジガル・ジュニオ・テイシェイラ・リマの一部であるがこんな逸話も伝えられている。

彼が生まれた時、父親は自身と同じ「エジガル・ジュニオル」という名前を息子にも付けようとした。

しかし「ジュニオル」は一般的に「○○の息子」を意味するもので、行政側は「ジュニオルを入れるのなら父親と同じフルネーム(+ジュニオル)でなければいけない」と却下したのだという。

ブラジルでは名前に父親と母親の姓を入れるのが普通だ。もし父親のフルネームにすると、母親の姓を入れられなくなってしまう…困った父親は「Júnior」から最後の「R」を省くことでこの問題を解決した。

かくしてブラジルでも珍しい「エジガル・ジュニオ」という名前が誕生したというわけだ。ちなみにこの変わった名前によって周囲から関心を呼ぶことも珍しくないが、本人は特に気にしていないとのこと。

超絶レジェンドと比較されたゴール

アトレチコ・パラナエンセでデビューしたエジガル・ジュニオだがあまり活躍できず、期限付きで2部のジョインヴィレへ。

1年半の間に2部リーグ優勝と昇格に貢献し、アトレチコへ復帰するがやはり大きな成功を収められなかった。

そこでバイーア州の名門バイーアへ完全移籍することになったのだが、2017年5月の試合でこんな超ゴールを決めた。

後方からのパスを受けて反転し、飛び出すGKを嘲笑うように流し込んだ左足でのループシュート。

この超ゴールは、ブラジルの重鎮ロマーリオがバルセロナに在籍した1994年1月、レアル・マドリーとのクラシコで決めた伝説のゴールに似ているとして話題になった。

それに対し、エジガル・ジュニオは「ロマリーオは“マスター”であり、比べられないよ。でもゴールに関しては控え目にいっても僕のほうが美しかったと思うね!」と語っている。

スペイン移籍の噂も

バイーアでは2016年に全国選手権1部の昇格に貢献し、2017年には彼のキャリアのハイライトとも言えるシーズンを過ごす。

この年は全国選手権で6試合連続8ゴールを記録するなど、得点ランク5位タイとなる12ゴールをマーク。全国的には強豪といえないバイーアを、一時はリベルタドーレス出場権の手前にまで持っていったのである。

その活躍が評価され、同年11月にはスペインのビジャレアルが獲得に乗り出していると報道される。彼は10代の頃、スペインの小さな2クラブのテストに合格したものの、パスポートの関係で帰国を余儀なくされていた。

それ以来の欧州行きが叶うかと期待されたが、26歳という年齢がネックになったのか移籍が決まることはなかった。

プレースタイルは?

選手としての彼は、174cmと大柄ではないもののポジショニングに優れ、左右両足、頭とどこからでもゴールを奪えるハンターだ。

かつて“ロマーリオ級”のゴールを決めたことは取り上げたが、小柄でちょっとお尻が出ているところや、低い重心での安定したボールコントロールとゴール前での高い決定力はその本家を彷彿とさせる。

ガンバ大阪との開幕戦ではちょこんと浮かしたゴールを決めているが、これはまさにロマーリオが得意とするプレーであった。

一方、バイーア時代はウイングとしても起用されており、点取り屋以外の役割もこなす。それが人もボールも動き、畳みかけるような攻撃サッカーを展開するマリノスでフィットしている理由かもしれない。

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すでに開幕2試合3ゴールを記録しているが、三好、天野、仲川、マルコス・ジュニオールらから供給される好機の数を考えれば20ゴールを十分に狙える人材といっていいだろう。

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