あえて顔見せ、隙突き…「詐欺+窃盗」新たな手口急増

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被害に遭った女性。「警察官と信じてしまった」=三田市内

 高齢者らから現金をだまし取る電話詐欺に、盗みを組み合わせた「詐欺盗」と呼ばれる事件が急増している。「オレオレ詐欺」のように相手が分からないことを利用した手口が広く知られるようになり、あえて対面することで被害者を安心させ、隙を突いて盗むのが特徴だ。兵庫県警が2018年から統計を取り始め、1年間で49件約7300万円の被害を確認。三田市内で被害に遭った女性が神戸新聞社の取材に応じ、巧妙な手口を詳細に語った。

 「三田警察署のカネコです。◯◯さんですね」。1月上旬の午前、1人暮らしの女性(86)宅に、警察官を名乗る男から電話があり「銀行員の犯罪を捜査する中で、あなたの夫が被害に遭っているのが分かった」と伝えられた。

 夫は3年前に亡くなっていた。不審に感じて電話を切ろうとした。だが-。「奥さんも被害に遭ったら危ない。すぐに別の署員が行くので指示に従ってください」。その直後、マスクを着けたスーツ姿で刑事風の男が玄関に来たという。

 男は、黒いかばんからメモを取り出して預金残高や年金などを質問攻めし、つい暗証番号も言ってしまった。カードの確認を求められて見せると、男は手にした封筒に入れた。「割り印を押すので実印をください」。女性は言われるまま部屋から取って戻ると、男は押印した封筒を返し、「数日後に新しいカードと交換するので保管しておいてください」と告げて立ち去ったという。

 約30分後、不安に感じて知り合いに相談。確認すると、既に約60万円が引き出された後だった。男から渡された封筒には無関係のポイントカードが入っていた。印鑑を取りに行った隙にすり替えられたとみられる。

 「年金をためた生活費だったのに…」と女性。「怪しい電話は相手にしないよう注意していたが、自宅に来たので警察官と信じてしまった」と悔やむ。