おかずクラブ、芸人を志す後輩にエール! 「NSCでの1年は本当に濃かった」

福岡に吉本総合芸能学院(通称・NSC)が開校し、間もなく1年。NSC福岡校は現在、2期生としてお笑いをはじめとしたエンターテインメント界を夢見る若者を募集中だ。そのプロモーションとして、NSC出身の人気芸人・おかずクラブが来福。女性芸人が急増する中、売れっ子として前線で活躍する彼女たちに、NSC時代の思い出や、芸人志望者へのメッセージなどを聞いた。

──元々オカリナさんは看護師、ゆいPさんは就活をする大学生だったそうですが、なぜお笑い芸人になりたいと思ったんですか?

ゆいP「私は面接当日に、トイレで履歴書を書くような就活生だったんです(笑)。漠然とどこかに就職するんだろうなって。なのに数社受けてダメだった時に、『何で落とすんだよ!』って逆ギレしちゃって。だったら自分の好きなこと(=人を笑わせること)をやろうって思ったのがきっかけです」

オカリナ「私は中学2年生の時、祖母が亡くなったことがきっかけで看護師を志望して、高校から看護科のあるところに通っていました。ちょうど高校生の時、友達がM-1グランプリの第1回のDVDを見せてくれたんです。その時に『簡単そう! お金稼げそう!』っていう完全な素人考えで興味を持ちました。私、ずっとお金持ちになりたかったんですよ(笑)。でもまだ全部捨てていくほどの勇気はなくて。資格取って、少し働いてから目指そうって」

──ではNSCへ入学し、2009年の結成にいたるまでのエピソードを教えてください。

ゆいP「授業でのグループがたまたま一緒になったんです。授業で披露するネタを一緒に公園で作っていた時に、(オカリナが)死にかけたセミがスズメからつつかれているのを見て、スズメを追いかけ回したんです。棒持って『オラァ~』って(笑)。その時に組みたいって思いました」

オカリナ「私も変だけど、ゆいPもおかしなやつですよね(笑)。そんなやつと普通組みたくないでしょ。でも当時、別の子とコンビ組んでいたんですけど、ゆいPが意外と積極的で。あまりにも言ってくるので元々のコンビを解散して、彼女と組むことになりました」

ゆいP「既に1人の子とはコンビを組んでいたんですけど、トリオを組みたくて。どうしても、もう1人はオカリナがよかったんです」

──2015年に「ぐるぐるナインティナイン」(木曜 午後7:56/日本テレビ系)の人気企画“おもしろ荘”で優勝したことをきっかけにブレークしました。それまでの経緯を教えてください。

ゆいP「テレビに出るまでの期間としては、順調だったと思いますね」

オカリナ「あまり気持ち的な焦りはなかったかもしれません。NSCの先生からは(売れるまで)順当にいって5年と聞いていましたし」

ゆいP「もちろん売れるまではバイトも大変だし、つらかったですよ。急にオーディションが入ることもあるので、シフトを変わってもらって…そういうのが続いたりすると険悪になったり。お金以外でも人間関係が大変でしたね」

──そうした苦労の中での“おもしろ荘”優勝だったんですね。

ゆいP「“おもしろ荘”って各事務所から決められた数の芸人がオーディションに参加できるんです。当時、吉本の決められた数は、所属芸人がたくさんいる中で100組で。なんとかその100組に選んでもらって、そこからやっと番組のオーディションなんです」

オカリナ「全部で7次審査くらいまであったんです。まだかまだかってずっとドキドキでした」

ゆいP「当時、若手が売れるための登竜門が三つくらいあって、その中で私たちが一番出られる可能性が高かったのが“おもしろ荘”だったんです。なので、そこにすごく集中していました。優勝できて、今こうしていられるのはすごく良かったなと思います」

──ではNSCでのエピソードをお聞きしていきます。授業の思い出はありますか?

オカリナ「好きだった授業は…ないです(笑)。“学校”だから、ネタの作り方やツッコミの仕方を教えてくれるんだと思っていたんですよ。実際は思っていたのと違いましたね。まずはネタを作ってこいと。そのネタを先にやらせて、後から先生が評価するって感じなんです」

ゆいP「あとは演技の授業が苦手でした。即興演技とかしないといけないんです。絶対に当たりたくなかったですね(笑)。でもその授業のおかげで羞恥心がなくなりました(笑)。肌を露出するのも昔は恥ずかしかったんですけど」

──芸人になる方法はNSCに入学する以外にもあったと思います。その中でもNSCを選んで良かったなと思うことはありますか?

オカリナ「ゆいPとは共通点がないし、入ってなかったら出会えていないんですよね。私はネタを作れないですし。そこは本当に入って良かったと思います」

ゆいP「今までここまで何かに打ち込んだことなくて。NSCの1年間は本当に濃かったんです。毎日始発で学校行って、終電で帰って。つらいこともあったんですけど、その分楽しかったよね」

──では最後に、今後NSCに入ってくる後輩たちに対してメッセージをお願いします。

オカリナ「在学中にコンビを組んだり、解散したりって結構あるんですよ。そういうことを繰り返して、ちゃんとした相手に出会えるので安心してってことですかね」

ゆいP「私は道を見失わず頑張ってほしいってことですかね。同期で仲良くなって毎日飲み会をする子とかいるんです。適度に仲良くなるのはいいと思うんですが、必死にやっていない人たちは結局やめていっちゃうので…」

オカリナ「自分の思っていた形と違っても、続けていればなんか変わったりしますから。だって私なんて漫才師になりたくて、NSC入ったんですからね(笑)」

NSC生時代の思い出を語る2人は、どんなエピソードの時も顔が輝いていた。同じ道を志すもの同士切磋琢磨していく環境は、2人にとって最高の“青春”だったようだ。来年度からNSCは、仙台、名古屋、広島にも開校する。同じ道を目指す“ライバル”がより増えるが、それは切磋琢磨する“仲間”が増えることでもある。生徒の募集は3月末まで。エンターテインメントの道を志す人は、ぜひ門をたたいてほしい。

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