長崎県議選 自民公認候補56% 平成で割合最高に 会派分裂状態 勢力争いも影響か

 平成最後となる今春の県議選(3月29日告示、4月7日投開票)に立候補を予定している自民公認候補の割合が6割に迫り、平成の過去7回の本選と比べて最も高くなっている。国政での自民独走が追い風になっているのに加え、長崎県議会内の自民系会派の勢力争いも影響しているようだ。

 長崎県議会の定数は平成最初の1991年当時は52人、2007年から46人。過去7回の本選を見ると、全候補者に占める自民公認の割合は、1991年から2003年は42~46%台(27~33人)で推移した。それが、「政治とカネ」の問題に揺れた2007年は39.7%に減少。下野して迎えた2011年は38.5%にまで落ち、最低となった。

 2012年の衆院選で自民が政権奪還してからは、逆に公認の割合が上昇。2015年の前回は48.3%に伸びた。今回、自民は公認申請中の2人を含め35人を擁立する予定。現時点で全立候補予定者の56.5%を占め、5人のうち約3人が自民候補の計算だ。

 過去最高が見込まれることについて、現職の一人は「政権与党であることの信頼感」を挙げる。国政とのパイプや県政与党であることを強調し「野党より住民の要望に応えられる」と強気だ。

 自民公認になると、党国会議員との写真を並べた2連ポスターで有権者にPRできるほか、県議選の場合、公認料として20万円が支給される。長崎県内に100以上ある自民の友好団体もバックアップ。長崎県議選に初挑戦する一人は「票を上積みするのに大きな後押しになる」と期待する。

 これに加え、今回は長崎県議会で自民系会派が2会派に分派していることも公認数を押し上げている。両会派とも改選後を見据え、多数派を握るため複数の新人を擁立。長崎市、佐世保・北松浦郡などの複数人区だけでなく、1人区の松浦市でも保守票の奪い合いの様相だ。特に第2会派の「自民」側からは「仲間を一人でも多く通す」との意気込みが聞かれる。

 自民の擁立が目立つ一方、党分裂を経て初の統一地方選を迎える国民民主と立憲民主は党勢拡大に踏み出せていない。

 旧民主は前回、10人を公認したが、今回は現時点で国民5人、立民2人にとどまる。

 国民は8選挙区ある複数人区への擁立を模索したが、島原半島の3選挙区と大村市区に公認を立てられていない。党籍を持ちながらも、保守層への食い込みを狙ってあえて無所属で出る立候補予定者もいる。県連の渡辺敏勝幹事長は「当選のめどが立たない中で候補擁立は難しい」と肩を落とす。

 立民県連は発足から1年足らず。県連の山田勝彦代表は「多くの候補を立てるより、確実な当選を優先した」。次回選挙に向けた態勢づくりを進める構えだ。

 公明と共産は各3人、社民は2人と、いずれも前回選と同数を擁立する予定。ほかに無所属12人が出馬の準備を進めている。

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