野良猫殺処分半減へ 長崎市、不妊化事業を拡充方針

 定例長崎市議会は11日、総務、教育厚生、環境経済、建設水道の4常任委員会を続行。市は教育厚生委で全国48中核市で最多の野良猫の殺処分数を減らすため、2019年度から不妊化事業を拡充する方針を示した。「平和観光都市」を掲げる市のイメージダウンにもつながる問題と捉え、18年度の900匹から5年後の23年度は400匹にして共生社会の実現を目指す。
 市によると、17年度の殺処分は1001匹。2位の山口県下関市は753匹、48中核市の平均は182匹で他都市と比べても多い。
 長崎市内は温暖で、斜面地や空き家の多さなど地理的条件も影響し、野良猫の生息数が多い。餌を与える人がいることも繁殖を促す原因となっているという。野良猫の増加はふん尿の悪臭や騒音などにもつながっている。放置はできないものの、市は殺処分数が多いことで「動物愛護の観点から平和観光都市のイメージが損なわれる」ともみる。
 市はここ数年、引き取った野良猫のうち年間100匹前後を譲渡、残りのほとんどを殺処分している。殺処分数は04年度の3401匹から官民による不妊化推進などが影響し減少傾向。13年度の1992匹から18年度は900匹となる見込みで、次の5年間で400匹にまで半減させる。
 不妊化事業は野良猫の繁殖抑制を図るため14年度に開始。ただ18年度は申請数1126匹に対し、動物病院に限りがあることから実施数は250匹に留まる。まず新年度に300匹まで拡大する方針で、市は「将来的に殺処分数を限りなくゼロに近づける」とする。
 11日の教育厚生委で委員からは、長崎に多いとされる尾曲がり猫を観光面で活用すべきとする意見が上がった。不妊化手術にかかる1匹当たりの自己負担額2千円の減額を求める声なども上がった。

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