『君は月夜に光り輝く』 余命宣告されたヒロインが患う病気とは…

(C)2019「君は月夜に光り輝く」製作委員会

 『君の膵臓をたべたい』を大ヒットさせた月川翔監督×北村匠海コンビが、ヒロイン役に永野芽郁を迎えたティーン向けの純愛映画だ。原作はライトノベルのベストセラー、余命宣告されたヒロインに主人公が振り回される難病ものという点も同じで、言うまでもなく東宝が二匹目のドジョウを狙った作品である。

 今回ヒロインが患うのは、細胞異常により死期が近づくと皮膚が光る“発光病”。主人公が振り回されるのは、病院から出られない彼女の願いを代わりに実行する“代行体験”によってだ。この手の作品の場合、ツボさえ押さえておけばかえって自由度は増すため、作家性全開の掘り出し物が生まれたりするものだが、月川監督は職人に徹する。特に前回は、図書館というアイテムを生かして映画ならではの時空間を描出していただけに、期待したのだが…。例えばヒロインの発光(映画的な設定!)を、CGに頼らず手作りの方法で表現できなかったか?と思ってしまう。

 それでも、ティーン映画のエースとしてその手腕は確かだし、主人公の感情の流れに違和感がないから、代行体験という強引な設定が逆に恋愛面で大きな効力を発揮している。永野は、朝ドラ直後に撮影したせいかオーラが出ていて病人には見えないが、そもそも死の間際に自ら光を放つ病。生き物には“中治り”という死の直前に一瞬回復したように見えることがあるので、意外と生命の真理を突いた映画なのかもしれない。★★★☆☆(外山真也)

監督・脚本:月川翔

原作:佐野徹夜

出演:永野芽郁、北村匠海

3月15日(金)から全国公開

© 一般社団法人共同通信社