カネミ油症51年 長崎県、新たに3人認定 14年連続1桁かゼロ 診断基準が壁に

 長崎県は11日、カネミ油症の本年度検診を受けた県内の未認定60人のうち、新たに五島市玉之浦町の60代女性と同市奈留町の50代と70代の各男性、計3人を油症認定し、6人を保留(経過観察)、51人は認定に至らなかったと発表した。油症検診に基づく認定数は、14年連続でゼロか1桁。有害化学物質の血中濃度を重視した診断基準が認定の壁となっているとみられる。
 長崎大学病院を中心とした医師10人でつくる県油症対策委員会が2月27日付で県に答申。県生活衛生課によると、汚染油が出回った1968年2月以降の出生者、いわゆる油症2世は60人中10人で、全員認められなかった。
 初受診は60人中15人。保留6人の中には11年間に9回受診した人もいる。新認定3人は初受診1人、3回目と4回目が各1人。少ない認定数について同課は「基準は科学的、医学的なもので、そこを超えて自治体では判断できない」とした。
 油症発生時に認定患者と同居し汚染油を食べた人を患者とみなす「同居家族認定」は、本年度中の申請がなかった。
 本県認定患者数は11日現在、同居家族認定153人を含め967人(死亡、転居含む)、県内在住生存者は461人。

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